大家に「立ち退き」要求された時のお金の注意点 争点となるのは「正当事由」があるかどうか
大家から突然の立ち退き要求。引っ越し費用がないのだけど、どうしたらよいでしょうか――。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
立ち退きを要求されているのは、相談者の母親。大家さんの子どもが住むためだといいます。
しかし、母親はこの家に10年近く住んでいるそう。高齢で体が弱く、わずかな年金で細々と暮らしているため、引っ越し費用がないといいます。
荷物はそんなに多くはないものの、仏壇があることも悩みの種です。輸送費もですが、旧居・新居での法要で数万円が必要になる可能性があります。
引っ越し費用を大家に負担してもらうことはできるのでしょうか。小西徹弁護士に聞きました。
大家さんからの要求は絶対?
建物を貸している大家さんが入居者に立ち退きを要求する場合は、たとえ契約更新時であっても、「正当事由」が必要です(借地借家法第28条)。
つまり、大家さんからの立ち退き要求も、絶対ではありません。入居者が立ち退きを拒否できる場合もあります。
また、入居者は立ち退くとしても、多くの場合で「立ち退き料」を受領できます。
正当事由があるかどうかは、大家さんと入居者のそれぞれが建物使用を必要とする事情、建物の状況、大家さんが入居者に提示した立ち退き料などのさまざまな事情を考慮して、裁判所によって判断されます。
大家さん側の建物使用の必要性は厳しく判断される傾向にあります。今回のケースのように、大家さんが子どもを住まわせたいという程度では、正当事由が認められづらいです。その分、少し多めの立ち退き料が必要になるでしょう。