「今年の夏は猛暑か冷夏か」を読み解くカギ 気温は「平年並み」大雨や台風への備えを

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昨年は、太平洋高気圧は平年より北西への張り出しが強く、チベット高気圧は平年より東への張り出しが強く、2つの高気圧が日本列島を覆いました。日本の上空で高気圧が2段重ねになり、布団を2枚重ねにしたような状態が続いたため、これまでにない猛暑に見舞われました。

今年は、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが平年より弱いです。それが一因で梅雨前線の北上が遅れ、近畿〜九州北部ではこれまでで最も遅い梅雨入りの発表(速報値)となりました。

エルニーニョ現象による日照時間の減少

太平洋高気圧の張り出しが弱い要因は、「エルニーニョ現象」です。南米ペルー沖の海面水温が平年より高くなる現象で、その影響で太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱まります。太平洋高気圧の張り出しが弱いと、日本の夏は日照時間が少なく、気温が低くなりやすいです。

このため、エルニーニョ現象が発生している夏は、日本は「冷夏」となる傾向があります。

エルニーニョ現象と聞いて記憶に新しいのは、前回の2014年夏~2016年春でしょう。8シーズンにまたがるエルニーニョ現象は、1949年以降に発生した中で最も長く、「ゴジラエルニーニョ」ともいわれました。

この期間の夏を振り返ると、2014年は全国的に冷夏、2015年は西日本を中心に冷夏でした。

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