すでに、消費税の影響を考慮している政府としては今年も6兆円もの公共投資を大盤振る舞いするわけですが、そもそもこの消費税増税は財政再建を目指したもので、「税と社会保障の一体改革」が目玉だったはず。それがいつの間にか公共投資にすり替わり、一度民主党政権に政権交代をした最大の目的の一つであった「過剰な公共投資による無駄な建設設備の排除」からは遠くはなれ、旧態然たる自民党政策の乱発に結びついてしまっていることは否めません。
私が仕事をしている岩手県でも、そもそも無駄、としてカットされた公共投資がほぼ満額復活しています。人口約4万人の町どうしを、2車線の高速道路で結ぶのです。将来人口が増えるならともかく、実際には10年後には人口が半減するような可能性まであるのです。この高速道路は一体だれが維持していくんでしょうか?
さらに言うと、昨年12月の日銀短観も目先の数字が良かったもので良い数字と報告されていますが、先行きのDIを見てみればほぼすべての業種がマイナスになっています。これは1月~3月の見通しなので、むしろ消費税の駆け込みが見込めるはずなのに全業種でマイナスが出ているというのは不思議です。4月消費税導入以降は一体どうなるのかという心配もありまし、多くの経営者が、「昨年12月がピークだった」という判断をしているのかもしれません。そうなると、短観のピークは前回景気回復期の小泉改革のいざ波景気を下回ることになり、アベノミクスは小泉改革を超えられなかった・・・という結果になりそうです。
注目すべきは、小泉改革では公共投資などの無駄はほぼ一切省いたうえで株価も景況感も今より上に行っていたわけです。賛否はあるでしょうが、要するに底上げされないで経済成長を実現していたのは事実です。今回は昨年の12兆円、今年の6兆円と公共投資と言うカンフル剤を打って「この程度」、というわけですから、そうそう浮かれてばかりはいられません。
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