「動物虐待を楽しんでいた」52歳男に見る心の闇 虐待者は「人間にも」危害加える可能性がある

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残虐性が年々エスカレートし、増加傾向にある「動物虐待」を取り締まりきれない日本の問題とは?(写真:coldsnowstorm/iStock)

愛猫の連れ去り被害が相次いでいた富山県富山市で、今年6月13日に無職の52歳の男が飼い猫1匹を盗んだとして窃盗の疑いで逮捕された。その他、50匹以上の猫を虐待して殺害した器物破損や動物愛護法違反の疑いでも捜査が進んでたが、今月に入り富山地検より起訴された。52歳の男の認否については明らかにされていない。

逮捕前に県内の保護団体が猫を連れ去った可能性のある男の自宅を訪れ、話を聞いたところ「1年半前から50~100匹を連れ去って殺した」などと話したという。

その際に撮影された動画で男は、「せっかく苦労して捕まえたのに、すぐに死んでしまったら面白くないから、ただニャンニャン鳴いているのを聞いて楽しんどった」「水だけしか与えずにそのまんま」「弱ってから殺した」と表情も変えずに淡々と語っていた。殺した猫は見つかることを恐れ、海や川に捨てていたという。

このニュースはネットでも瞬く間に拡散された。「1人暮らしで誰も相手にしてくれず、ストレス発散のために猫を殺していた」という身勝手な動機による凶行に多くの人が震えたことであろう。

「動物虐待」は年々増えている

環境省の「平成30年度動物の虐待事例等調査報告書」の「Ⅲ 動物の虐待等の判例等」によれば、動物虐待は年々、増加傾向にあり、平成29年度には109件の逮捕が報告されている。動物虐待事件では犯人が見つからないことが多く、この逮捕数は氷山の一角にすぎない。

さらに、ここ数年、インターネット上にも残虐な方法で動物を虐待する動画や文章の匿名掲示板への投稿が相次いでいる。この52歳の男の携帯検索履歴にも、猫の殺害方法を調べたと思われる多くのワードが残されていたため、このような投稿を参考にして行為に及んでいた可能性が高い。

匿名掲示板の中には、動物虐待専門の掲示板もあり、その投稿数や残虐性が年々エスカレートしていることから、「犯罪の温床」と多くの動物愛護団体から指摘を受けている。

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