自民党の斬新広告が若者をポカンとさせるワケ ViVi×「#自民党2019」だけじゃない

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丸山:同じく国民民主党の「こくみんトーク!」という動画のシリーズは、経営者、高校生、ジャーナリスト、母親といった、いろんな立場の「普通の人」が玉木雄一郎代表と対談しています。自民党が成功した若者たちばかりと一緒に出ていたのに比べて、身近な感じがしますね。

原田:出た、距離の近さと親近感。国民民主党はここがしっかり出せているんだ。

須藤:私は、小沢一郎さんの自由党時代のCMをYouTubeで見ました。荒野を歩く小沢さんがロボットに首を絞められるという。

原田:2001年の参院選のときのだね。

須藤:国民民主党 のCMは、あれにちょっと似てると思いました。マニフェストの細かいところがどうだとか、消費税がどうとかより、政治に対する立場を明らかにしてもらったほうが、絵的にわかりやすいというか。

原田:それだと抽象的すぎない? どこも似たようなものになる可能性もあるし。

松崎:いいんですよ。ロボットに暴力をふるわれながらもめげない、つまり大きな旧体制に立ち向かうという立場が視覚的・直感的にわかりやすいので。

原田:政治離れしている今の若者たちは、個別具体的な細かい政策を一方的に主張されるより、イメージとしてどんな立ち位置や姿勢であるかを示されたほうがいいと感じるんだね。政策論議にいけない、という意味では大変危険な気もしますが。

議員の「お茶目」を見たい

原田:立憲民主党はどうでしょう?

須藤:国民民主党よりは印象に残らなかったような気がします。

原田:えっ?そうなんだ? 政党支持率で言うと、立憲民主のほうがだいぶ高いけれど。

浅見:立憲民主党は議員さんがスーツを着ていて、かっちりした印象を受けました。一方、国民民主党はユーモアがプラスされていて親近感が湧きました。

原田:国民民主党のはスーツじゃなくて、コスプレしてるのがいいということ? ふざけた感じとは思わない?

丸山:言い方は悪いかもしれませんが、議員さんって「偉そう」「私たちに寄り添ってない」というイメージなんです。だからコスプレによって「あんなお茶目なこともするんだ」って親近感が湧きます。議員っぽくない別の顔が見られるのはいいことです。安倍首相がトランプ大統領とゴルフをしたときのセルフィーがバズるのも、お茶目だからですよ。

原田:自民党の過去のCMもスーツを着ているものが多いね。記憶に新しいところだと、2017年の衆院選では、安倍首相がスーツ姿で「この国を、守り抜く。」と言っていました。

堀井:あれはピンとこなかったです。感覚的にも何を守るのかわからないし、具体的に何をしたいのかもわからないので、何もわからないという……。その一言だけ言われても困るので、もう少し具体的に教えてほしいなと思います。

富山:動画にしろポスターにしろ、やはり文字と政治家の顔だけじゃなくて、もっと直感的にわかりやすい、具体的なイメージを見せていくべきだと思うんですよ。例えば、震災復興の現場で住民と話している写真を入れるとか。

原田:「直感的なわかりやすさ」と「親近感」。それが今の若者には刺さる最大のポイントなんだね。

(次回に続く)

(構成:稲田豊史)

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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