外国人を不当にこき使う繊維・衣服産業の疲弊 技能実習生を劣悪な環境に追い込む構造要因
ところが「実習」という制度名称の建前とは裏腹に、技能実習生たちは単に安価な労働力としてこき使われ、人権侵害が横行する実態がある。賃金不払いや違法な長時間労働、パワハラ・セクハラの横行、劣悪な労働・生活環境を起因とした事故・トラブルなどが絶えない。転職の自由もなく、過酷な現場から逃げ出す実習生たちが「失踪者」として増加を続けている。
2017年11月に実習生の保護強化などを目的とした新技能実習制度が施行されたが、その後も状況が改善したとは言えない。法務省によると、新技能実習制度開始から1年後の時点でも9052人の実習生が失踪している。
ただ、こうした流れを是正しようという動きも一部で出てきている。
不正の見えにくい、繊維産業の多重構造
渋谷109にも店舗を構える「セシルマクビー」や「アンクルージュ」など、レディース向けブランド服の企画・販売を手がけるジャパンイマジネーションは5月31日、「外国人技能実習生と国内生産に関わる問題への取り組み」を発表した。
アパレルメーカー(1次サプライヤー)に対し、2次サプライヤーである工場における、外国人技能実習生の長時間労働や賃金未払いなどの法令違反に対する「生産・取引の中止」を明言。加えて、「外国人技能実習生の実態調査」や、「社員による工場訪問」などについても報告した。
ジャパンイマジネーションがこのような取り組みを始めたきっかけは、2017年12月にテレビ東京で放送された「ガイアの夜明け」だった。番組内で取り上げられた外国人技能実習生の劣悪な労働現場が、ジャパンイマジネーションの商品を生産していた工場だった。
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