空港暮らしのアンゴラ人が韓国に入れない事情

「難民認定」の難しさと韓国政府の立場

しかし一方で、ルレンド一家の受け入れに反対する声も多いという。第一審の際には、裁判所前では反対運動が行われ、ルレンド家の子どもたちに罵声を浴びせたり、空のペットボトルを投げつける人もいたという。また、昨年は韓国・済州島にイエメンから500人以上もの難民申請希望者が押し寄せた際、難民受け入れ拒否の請願が1カ月で70万件を超え、反難民の世論は急速に拡大しているようだ。

難民受け入れに対する世論が二分される中、ルレンド一家の第二審は7月中に行われる予定だ。だが勝訴しても、すぐに難民と認定されるわけではなく、難民審査を受ける権利を得るにすぎない。敗訴した場合は、アンゴラに強制送還されてしまうのか、受け入れてくれる第三国を探しだすことになるという。ルレンド一家にとって、目の前の韓国がどれだけ遠いことだろう。

日本に比べると韓国はよくやっている?

ルレンド一家を通して、難民申請希望者たちが直面する厳しい現実、紛争後の真の平和構築の難しさなどが浮き彫りになった。難民支援や国際機関の関係者たちにヒアリングを重ねると「日本に比べると(難民の受け入れが)進んでいるだけに、この状況は残念に思う」という声も多かった。

だがその一方で、「裁判手続きの権利を保障しているのはすごいこと。(日本に比べると)韓国はよくやっている」「韓国政府の葛藤、ぎりぎりのところでの正義感と人道的配慮が感じられる」などの声が多く聞かれ、日本の難民を取り巻く状況の厳しさも感じずにはいられなかった。

今や、紛争や迫害によって故郷を追われた人の数は7000万人を超え、第2次世界大戦以降、最高レベルの数値となった。国家の安全保障にも直結する問題であるため、世界は極めて難しい問題を突きつけられている。

国連開発計画(UNDP)の近藤哲生駐日代表は「しかしながら難しい問題が起きたときはチャンス。これまで解決できなかった難しい問題に対して、いろんな人が頭を悩ませ、心を砕いて考えるという状況を作ることが大事。国連が2015年に打ち出した『持続可能な開発目標(SDGs)』の17の目標の中に難民については明示されてはいないが、極めて重要な問題であり決して置き去りにしてはいけないと思っている」と語った。

私たちにできることは何だろうか。難民に関する問題は、日本国内でも関心が低く選挙の争点になりづらいため、なかなか議論が進まないと言われている。まずは難民の存在に関心を持つこと、難民支援の活動に目を向けることが、小さいけれど確実な一歩かもしれない。

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