韓国の空港で暮らす「アンゴラ人一家」の真実

日本人少女がメディアより先に情報を伝えた

韓国の仁川国際空港に150日以上も“暮らしている”アンゴラから来たルレンドさん一家(筆者提供)

「自分の国に帰ったら殺されるかもしれないのに、外国にも行っちゃいけない、空港から外にも出してもらえないなんて、おかしいと思わない? 考えられる?」そう話すのは、熊本に住む7才の少女、小都(こと)ちゃん。

5月初旬、小都ちゃんは家族旅行中に韓国・仁川国際空港で、アンゴラから来た6人家族、ルレンド一家と出会った。6時間ものトランジットで暇を持て余す小都ちゃんが、同じ年頃の子どもたちに「一緒に遊んでいい?」と声をかけたのがきっかけだった。

ルレンド一家救済に奔走する小都ちゃんと両親(筆者撮影)

ルレンド一家は、祖国アンゴラで命の危険を感じ「難民」としての受け入れを望んで韓国に逃げてきたものの、難民申請はおろか入国すら許されていない。現在控訴中で、空港の中に150日以上も“住む”ことを余儀なくされている。

小都ちゃんの家族は、日本に帰国後もルレンド一家のことが気がかりだった。「ただの旅の思い出話で終わらせてはいけない」と、ルレンド一家を救うために手作りのチラシを配布したり、SNSで国内外に情報発信を始めた。

空港でひときわ目立つルレンド一家

5月中旬、筆者は、熊本で開催されたイベントでチラシを配る小都ちゃんに偶然に出会い、ルレンド一家の存在を知ることとなった。そして10日後、筆者は仁川国際空港へ飛んだ。

空港第1ターミナルの会員専用ラウンジの前で、荷物を山積みにし、並べたソファをベッド代わりにして生活する一家の姿はすぐに目を引いた。ルレンド一家は、夫妻とリマくん(9)、双子のロデちゃん(8)とシロくん(8)、グレイスくん(6)の6人家族。空調で冷え切った室内で過ごす家族は、時折身震いや咳をし、疲弊しているように見えた。

取材に対応するルレンド一家(筆者提供)

ルレンドさんの祖国アンゴラでは、1975年から2002年まで内戦が起きていた。戦火を逃れて隣国コンゴ民主共和国(旧ザイール共和国)へ渡り、内戦後に再びアンゴラに戻ってきた人たちは裏切り者扱いをされ、侮蔑の意味を込めて「バコンゴ」と呼ばれて差別されてきた。両親の避難先のコンゴ民主共和国で生まれたルレンド夫妻は、大人になって祖国アンゴラに戻ってきた。そこでルレンド一家はバコンゴとされ、日常的に差別を受けてきたという。

状況が一変したのは、2018年11月16日。タクシー運転手だったルレンドさんは、運転する車の前に急に飛び出してきた集団を避けた際、アンゴラ警察の車と軽い接触事故を起こしてしまった。言語の違いによってバコンゴであることを警察に気付かれたルレンドさんは暴力を振るわれ、車の前に飛び出してきた人物に対する殺人容疑で逮捕された。刑務所でも警察からの暴行は続いたという。

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