空港暮らしのアンゴラ人が韓国に入れない事情 「難民認定」の難しさと韓国政府の立場

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つまり、難民条約加盟国の場合、国が窓口となって難民の該当性を判断するため、国によってはその国の政治的な判断が色濃く反映されてしまうこともあるようだ。

一方、条約加盟国でない国に難民申請希望者が避難してきた場合、窓口はUNHCRとなり、条約の意図する審査になると考えられる。世界は今、難民に寛容な態度をとる政治家が支持率を落とすなど、難民の受け入れに対して厳しい時代だ。難民が逃れてくる国々の中には、国民の利益と国際社会で果たすべき難民保護の義務との間で板挟みになっている国もあるに違いない。難民申請希望者にとって、どの国に渡航するかが大きく命運を分けることになるのだろう。

ネットでルレンド一家を支持する動きも

以下は、先日発表されたばかりの2018年のG7+韓国の難民認定数と認定率である。

                 認定数     認定率
ドイツ    56,583   23.0%
アメリカ   35,198   35.4%
フランス   29,035     19.2%
カナダ    16,875     56.4%
イギリス   12,027     32.5%
イタリア     6,448      6.8%
韓国                118       3.1%
日本                  42       0.3%


出典:UNHCR Global Trends 2018を基に筆者作成

今年1月、難民条約加盟国ではないタイで、一度は強制送還を命じられながらも亡命に成功した女性がいた。家族の暴力によって命の危険を感じ、サウジアラビアから逃げてきたラハフさん(18)だ。祖国に強制送還されそうになると、ラハフさんは空港内のホテルに立てこもり、「私は家族に殺される」とTwitterで発信して助けを求め続けたのだ。

すると、フォロワーが24人だった彼女のTwitterは、#SaveRahaf(=ラハフを救え)を付けた応援メッセージと共に広がり、24時間以内にフォロワーは2万7000人にもなって世界から注目を浴びたという。するとUNHCRを介して、カナダが彼女を受け入れることになったのだ。何が功を奏したのかは明らかでないが、彼女のような成功例もあった。

ルレンドさんの頭文字であるL字を手で作った写真(筆者提供)

今、ラハフさんにあやかって、ルレンドさんの頭文字であるL字を手で作って撮影し、#SaveLulendoを付けてSNS発信して一家を応援する動きが広がり始めている。ルレンド一家にとって心の支えになっているようだ。

ルレンド一家がここまで踏ん張ってこられたのは、裁判で共に戦う弁護士事務所の存在や、寄付や物資を代わる代わる空港に届けてくれる多くの支援者たちの存在があったからこそだろう。当初は祖国を脱出できればどこでもいい、と韓国に避難してきたルレンドさんだったが、今では「家族のような存在がたくさんいる韓国で暮らしたい」と話している。

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