偽ブランド品の横行が「昭和に逆戻り」する事情 規制強化しても輸入が後を絶たない根本理由
もちろん、規制当局や各社もこの状況に手をこまねいているわけではない。税関はとくに大きな流入元である中国や韓国の税関とも協力し、排除を進める。
フリマアプリ大手のメルカリは、数百人規模の態勢で、トラブルに発展するおそれのある取引や業者からの出品がないか、24時間人の目によるパトロールを実施。AIによる違反出品検知も進める。偽物の疑いがあると判断した場合はメルカリが最大全額を補償するという制度もある。さらに、全国の消費生活センターにブランド取引の注意点を解説するパンフレットを設置するなど啓蒙活動にも力を入れる。
楽天が運営するフリマアプリ「ラクマ」でも、ECサイト「楽天市場」で培ったノウハウを生かして、人の目によるパトロールや「コピー品」などのキーワードで出てくる商品を排除するプログラムを実施。担当者を拡充し、排除策を強化していく方針だ。
なお、利用者が商品を確認し取引完了操作を行う前に偽物だと明らかになったり、記載内容と違うモノが届いたりしたら、規約に沿って返金も行うなど消費者保護の措置も行う。
EC最大手アマゾンの対策は?
ECサイト最大手のアマゾンアメリカ法人は今年新たな排除策として「Project Zero」を発表。これまでは不正出品を発見したブランドはアマゾンに連絡し出品を差し止める必要があった。今回の仕組みではブランド側が自身で削除を行うことができるようになる。
ただ、ブランド側の人員数に効果が左右されるうえ、ブランドが削除権を乱用し侵害品以外の商品を削除しない保証はない。日本法人でも機械学習やパトロールで排除にあたっているとするが人員などは非公表。「ノーブランド品」などとして正規品とは名乗らない形で有名ブランド品によく似た商品も複数出品されている。中には同サイトのおすすめ品であることを示す「Amazon Choice」マークがついている商品も見られた。一層の対策が求められる。
技術革新で偽ブランド品から消費者を守る動きも出てきている。アメリカ発のベンチャー企業「Entrupy」(エントルピー)はAIを用いた真贋鑑定サービスを提供。拡大した写真が撮れる専用機器をつけたiPodで写真を6~8カ所、計20~30枚程度撮影することで鑑定を行う。
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