武田薬品「いいところ取り」グローバル化の限界

クローバック条項で株主提案側の実質勝利へ

例年とは異なり、武田薬品工業の定時株主総会は今年、横浜市内で開かれた(記者撮影)

武田薬品工業の定時株主総会が6月27日に開かれた。例年は大阪市内で開催していたが、今年はG20サミットの開催と重なり、横浜市のパシフィコ横浜での開催となった。

1月8日に欧州の製薬大手シャイアーの買収を完了してから最初の株主総会で、取締役の選任や取締役の株式報酬額、株式報酬の内容の変更など、会社側が提案した議案は6件とも承認された。議決権行使助言会社が反対推奨していたクリストフ・ウエバー社長の選任も承認された。

一方、武田薬品のOB社員ら個人株主でつくる「武田薬品の将来を考える会」が提案した2件の株主提案(取締役報酬の個別開示、クローバック条項の定款への採用)は否決された。表面的には会社側が全面勝利した。

総会は株主提案側の「実質的勝利」

しかし、その内実は異なる。2つの株主提案は否決されたが、クローバック条項については社外取締役でコマツ元社長の坂根正弘・取締役会議長は総会の場で「来年の5月までに取締役会で社内規定(内規)の整備を検討していく」と事実上の受け入れを表明した。

株主総会に参加した一般株主からも「株主提案はいい。賛成だ」(70歳台の男性)という声が聞かれるなど、株主が拒否反応を起こすような提案ではなかったと言える。

総会終了後にメディアの取材に応じた「考える会」の武田和久氏は「われわれの主張が通った」と述べた。表面的には株主提案は否決されたものの、今回の株主総会は株主提案をした側が実質的に勝利したと言ってよいだろう。

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