「遠くへ行きたい」が圧倒的な支持を集める理由 唯一の「JRグループ」提供番組のこだわり

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1970年10月4日にスタートした「遠くへ行きたい」第1回放送のオープニング画面(写真:「遠くへ行きたい」提供)

“JRグループ”がCM提供している唯一の番組をご存知でしょうか? JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の各社ではなく、JRグループ全体であるところに、番組の歴史とすごみが見え隠れしています。

その番組は日曜朝に放送されている「遠くへ行きたい」(読売テレビ、日本テレビ系)。1970年10月4日のスタートから約49年の歴史を誇る「日本で最も長く放送されている旅番組」であり、現在も時間帯トップの視聴率を記録する人気番組です。

なぜこの番組だけJR各社ではなくJRグループがCM提供しているのか? なぜ半世紀の長期にわたって番組を続けてこられたのか? さらに、なぜ旅行好きだけでなく、鉄道ファンからの支持を集めてきたのか?

業界内で旅番組のレジェンド的な存在として知られ、同番組を46年もの長期にわたって手がけてきたテレビマンユニオンの土橋正道(つちはし・まさみち、橋は木へんにはしごだかの上部分がノと一の組み合わせ)チーフプロデューサーに話を聞きました。

国鉄の時代からCM提供していた

なぜJRグループがCM提供しているのか? その理由は、番組が誕生した背景が関係しています。1970年のビッグイベントと言えば、アジア初であり、史上最大の規模で行われた大阪万博。約6400万人もの来場者を記録するフィーバーで、国鉄(JRグループの前身)の乗客が飛躍的に増えました。

国鉄はこの追い風を生かすべく、個人旅行を促す“ディスカバー・ジャパン”というキャンペーンを企画・実行。その一環として、民放初の旅番組「遠くへ行きたい」がスタートしたのです。

土橋「大阪万博と同じ1970年に、当時TBSのスターディレクターだった人たちがテレビマンユニオン(番組制作会社)を立ち上げました。その人たちが大阪万博の電信電話公社(NTTグループの前身)のパビリオンを演出していた関係もあって、『テレビ番組でもディスカバー・ジャパンをやろう』という話になり、この番組が生まれました。当時はまだ日本国内の旅番組はなかったみたいですね」

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