「遠くへ行きたい」が圧倒的な支持を集める理由 唯一の「JRグループ」提供番組のこだわり
そんな拘束時間の長い番組でも旅人の選定には困らないのは、タレントにとって「プロデューサーやディレクターよりも旅人を優先させる」という他番組にはない魅力があるから。
土橋「普段旅番組に出ない人も、『遠くへ行きたい』だったら出てもいい、という人がいるんですよ。すべてのシーンに自分1人だけで出られる番組ってなかなかないですよね。最初から最後まで参加するので、『やり切った』という達成感があるし、『自分の魅力を多角的に描いてもらえる』という点も喜んでもらっています」
鉄道ファンへのさりげないサービス精神
同番組を語るうえで、もう1つ忘れてはいけないのは、鉄道の旅を大切にしていること。電車の旅ならでは旅情を大切にし、車両、乗車、車窓、駅弁などのシーンに力を入れているのです。
土橋「僕自身はディレクターたちに『必ず列車は入れるように』と言っていますし、地方の路線も応援したいと思っています。撮影上の制約は少なくありませんが、『この駅で、何時に、どこのポジションから映す』とか、時間と場所に合わせながらいちばんいいところをきちんと撮れるようにしていきたいですね」
とりわけ撮影の工夫が感じられるのは車窓のシーン。ここには鉄道ファンへのさりげないサービス精神が込められていました。
土橋「例えば、車窓から一面の海が見えるところか、各鉄道の沿線には絶景の場所が必ずあって、それを逃さないようにしています。旅情を楽しんでもらうためにナレーションでの説明は入れませんが、乗ったことのある人なら『俺、あそこ撮った!』とわかってもらえますから。『何気なく絶景を映しているシーンも、実は車窓だった』というケースもありますし、これからも鉄道の美しい風景は撮っていきたいですね」
鉄道の旅を演出するうえで、技術的な変化が大きいのは、ドローンの存在。
土橋「ドローンのおかげで、例えば五能線の海沿いを走る列車とか、その場所の特徴を捉えた鉄道の絶景が撮りやすくなりました。
絶景に絡めるだけでなく、外から車両全体を映すこともできますし、カメラマンたちはドローンを貪欲に練習しているので、見せ方はどんどん多角的になっていくと思います」
一見すると、普通の旅番組であるにもかかわらず、よく見ると鉄道の旅というスパイスを効かせているのは、さすがJRグループのCM提供番組といえるのではないでしょうか。
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