青森―福島「潮風トレイル」はどんな歩道なのか 被災地をつなぐ道沿いに始まる新たな試み
「7月末から8月にかけて、ウミネコの親子は北海道の太平洋岸に移動し、この島にはウミネコはいなくなる。翌年2月ころからまた集まりはじめ、ヒナを生み育てるのです」という鮫観光協会の杉本健一会長(70歳)の説明によれば、今は繁殖シーズン真っ盛り。
いつごろから、どういうわけで、ウミネコの繁殖地になったのか。
「江戸時代の俳句にも詠まれています。そのもっと前からでしょうね」
起点の蕪島から歩こうと思ったのは、みちのく潮風トレイルのホームページ上に「モデルコース」として、詳しく紹介されていたからだ。島の上にある蕪嶋神社に上る階段は手前で閉鎖されて、上れない。2015年11月5日に火災で全焼し、再建工事中。島にウミネコがいる期間、工事は休み、秋から再開予定だそうだ。
野趣に富む道なき道
トレイルを歩く人は、事前に名取トレイルセンターに立ち寄るか、もしくは郵送による申し込みにより、歩きたい地域のトレイルマップを入手することが奨励されている。
地図を広げると、蕪島から南に下れば、久慈市の小袖海岸や断崖絶壁で知られる北山崎がある。行ってみたい。しかし、時間の都合がつかず、ホームページ上で紹介されている「日帰りコース」をさらにカットし、種差海岸駅まで歩くことにした。計7.5キロメートル。事前に種差海岸インフォメーションに電話して聞いたところ、「ゆっくり歩いて3時間もあれば大丈夫」と言われた。モデルコースとされているだけあって、きちんと遊歩道が整備されているはず、と思った。
ところが、国立公園内のどう見ても迷いようがない遊歩道と違い、突然どこが道だかわからなくなった。たぶん、こっちだろうと、家や小屋の裏手を通る道を行くと、上のほうから杖をつきながら降りてきた女性と出会った。ラッキー!
「これは潮風トレイルですか」と聞くと、「そうです」という答え。青森市内に住む66歳の女性で、首から下、体の左半分は「靱帯骨化症」であまり動かすことができず、右手も使えなくなったので秋に手術を受ける予定だが、できるだけ身体を動かして体力をつけるため、少しずつトレイルを歩いているという。
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