青森―福島「潮風トレイル」はどんな歩道なのか 被災地をつなぐ道沿いに始まる新たな試み
青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」の全長1025キロメートルが6月9日に全線開通した。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)により、6年前に63歳で亡くなった紀行作家の加藤則芳さんが働きかけ、環境省を中心に道づくりを進めた。欧米、韓国、そして日本でも最近人気の「歩く旅」。私も少し歩いてみた。ルートには、地元の漁業関係者の小舟で行く部分も組み込まれ、これをきっかけに工夫を凝らしたエコツアーを始める漁師さんもいる。被災地をつなぐ道沿いに、新たな試みが始まっている。
起点の蕪島、ウミネコたちが子育て真っ最中
トレイルの起点(あるいは終点)は、青森県八戸市の蕪島。八戸駅で、新幹線からJR八戸線に乗り換える。駅のホームの看板に、「うみねこレール八戸市内線 JR八戸線(八戸〜鮫間)」とある。2両編成の電車は、「うみねこレール」と呼ばれるらしい。鮫駅で降り、10分ほど歩くと蕪島(かぶしま)に着いた。
蕪島は、ウミネコの繁殖地として、国指定の天然記念物に指定されている。
ネコの鳴き声のような大合唱とともに、数知れない白いウミネコが舞っていた。
神奈川県から写真を撮りに来たという男性が、「小さくて黒っぽいのが今年生まれたヒナ。あっちのフェンスの向こうの草むらをよく見ると、いるよ」と教えてくれた。保護フェンスの向こうに目を凝らすと、いたいた、つぶらな瞳のヒナが。
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