「多様性のある教育」が生まれる
大学生が学業に力を入れるようになってくると、今までにはなかったような多様な教育が実現していくと思われます。
学生が真剣に授業に取り組んでいないと、多様性のある教育をしても、学生がそれを身に付けていないので、企業にとってはA大学もB大学も変わらなく見えます。すると、企業にとっては、入学時の「偏差値」以外の判断基準がなくなってしまいます。
一方、学生が真剣に授業に取り組むようになると、教育の多様性が、学生の多様性を生み出します。たとえば、A大学では論理的に考えたり、議論をしたりする力を伸ばすことに力を入れている。B大学では、さまざまな年齢や考え方の人と共感し、その人たちと協働できる力をつけさせることに力を入れている。C大学では、これまでどおり、大教室でただ講義を聞かせているだけ。
こういった状況であれば、自社に欲しい人物像と照らし合わせて、どの大学がいいのかという判断基準になります。仮にC大学の偏差値がいちばん高かったとしても、必ずしもC大学が有利とはいえない状況が生まれてくるかもしれないのです。
連載第3回目に紹介したわれわれの調査では、立教大学の経営学部と社会学部が、「考える力を育成する授業」をしているという点で、早慶を圧倒的に上回っていました。
こういった情報を企業が広く共有するようになれば、早慶と比べて立教を優遇するようになるかもしれません。
「多様性のある教育」が、現実のものとなっていくのです。
「学ぶこと自体に興味を持たせるべき」は正しいか?
ここまで読んでいただいた方の中には、「本来、学ぶということは、就職に役立つからやるというたぐいのものではない。学ぶこと自体に興味を持つべきだ」と思われた方がいるかもしれません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら