立教が早稲田・慶應を超える日が来る? 就活が変われば、大学はこう変わる!

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このような動きが進み、評価の信頼できる授業がわかってくると、企業は評価の信頼性の高い授業に関しては、成績の良しあしも評価の参考にしようとします。「○○大学経済学部の必修授業」や、「××大学法学部の憲法の授業」だけは、「成績がAの学生のほうが、Bの学生よりも、地頭がいい可能性が高い」という判断基準を、企業が持つようになるのです。

こういう情報は、いずれは学生に伝わりますので、学生は評価が信頼できる授業に関しては、単位を取るだけでなく、いい成績を取ろうと努力するようになってきます。こうして少しずつですが、授業に真剣に取り組む学生が増えてくるのです。

評価が厳しく、質の高い授業ほど、学生に選ばれる

企業が授業に関心がない現状では、先生が評価を厳正にすると、学生はその授業を履修することを敬遠しがちです。学生の間では評価の厳しい先生に関する情報が共有されていて、評価の厳しい「鬼」などと言われる先生の授業は、不人気なのが普通でした。

ところが、企業が学業に関心を示し、授業の評価の信頼性を理解してくると、厳正に評価をつける授業を選択し、まじめに勉強したほうが、学生にとって「得」だということになります。その授業でいい成績をとれば就職に有利なので、多くの学生が厳正な評価をする授業を受けるようになるのです。

すると、大学の先生はどう感じるでしょうか。これまでは、厳しくしたら学生がついてこなかったから、仕方なく「甘い」授業をしていた先生は、誰に遠慮することなく、きちんとした評価をするようになります。企業が成績を就活の参考にすることで、結果的に成績評価が厳正になると考えられるのです。

このように、評価の厳正な授業が多くなり、多くの学生が真剣に授業を受けるようになってくると、自然と授業の「質」も注目されるようになります。

どの授業をとっても真剣に勉強しなければならないのであれば、学生は「役に立ちそうな授業」「先生が熱心な授業」を選びます。また、どの授業も厳正に評価をつけているのであれば、企業は「学生の能力を伸ばしている授業」に、より着目するようになります。

このように、企業が採用選考で成績表を活用することは、大学の教育に対して大きなインパクトを与えることになります。大学生が授業に力を入れることが報われる社会につながり、同時に大学の先生も、教育に力を入れることが報われる社会になっていくのです。

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