公害汚染で、男性の平均寿命は55~60歳
一個一個の建物をのぞくと、作業中の人たちと目が合う。
ギロリとにらまれるが、笑顔で手を上げると、笑顔で返してくれる。
ラジオから流れるボリウッド音楽が、忙しい街に不気味に流れていた。
空気が悪いため、ここで仕事をする男たちの平均寿命は55~60歳。
みな公害汚染にカラダを蝕まれ、命の灯火が尽きてしまうという。
労働者の賃金は、1日200~250ルピー。週休1日だ。
ここで働く人たちは、地方の農家出身者が多く、モンスーンの
3~4カ月を農業、残りの9カ月弱をスラムで働いて過ごす。
モンスーン中はほぼ雨だから、パレットが乾かなかったりして、
工場生産率が落ち、賃金も安くなる。
マラリアやコレラが流行するのも、この時期だという。
インド第2位、革産業の現場
過酷すぎる現実を目の当たりに、ひどいショックを受けていると、
次のエリアへ行くが、途中で立ち止まらないで、とガイドが言う。
着いていくと、幅40センチメートルくらいの、日がほとんど
当たらない、トンネルのような道を進んでいく。
驚くことに、その両サイドの壁には、家らしき入り口があるのだ。
ドアではなく、カーテンのような布の玄関。
ぼくはガイドの後ろを立ち止まらず進んでいく。
そこを抜けると、革製品を作るエリアへたどり着いた。
ヒドい臭いで気分が悪くなる。死臭というか、剥ぎたての動物の皮が
そこで水洗いされている。洗い水で薄まった血まみれの地面を歩く。
ハエが飛び回り、建物の中では無数の皮を扱う人々の姿。
皮は主にヤギ、羊、牛、バッファローから剥いだもの。
革産業の大きさでは、ムンバイはチェンナイに次いでインド第2位。
その実態は、まさに、ここダラビのこの現場なのである。
ここダラビには1万を超えるビジネスが存在しているという。
裁縫などの技術が必要な職業ほど賃金は高いが、それでも1日
400~500ルピーほど。
インド人といえばボリウッド映画、「映画館はあるの?」と聞くと、
小さなテレビで映画を見るレディオパーラーという場所があるらしい。
入場料は1人20ルピーだという。
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