アップル「スマホ値引き規制」に抱く強い危機感 今後iPhoneは「定額制」になるかもしれない

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問題は、それで消費者がどれだけ、今契約しているキャリアを解約して乗り換えるかだ。

これまでの顧客囲い込みを強化してきたルールの中で、2018年度、大手3社のスマートフォン解約率は1%に満たず、最大手のドコモは最も低い解約率である0.57%を示している。その対策として、端末販売との分離と、契約解除の費用を1000円以下にする案が当てられたと見てよいだろう。

すでに格安SIMとして知られるMVNO(仮想移動体通信事業者)が2012年以降乱立している。現在の日本の携帯電話契約数は2019年3月末時点で1億7615万7000件。そのうちMVNOの多くが含まれる独自サービスを提供するSIMは1312万2000件で、契約数全体の7.4%と、1年前に比べて1ポイント増加した(MM総研調べ)。

2年ごとの乗り換えタイミングを迎えた人は昨年度にもいたはずだが、それでも、料金がより安いMVNOへ乗り換えが鈍化しており、携帯電話利用者のキャリア流動性は満足ではないという判断だ。

現状のビジネスモデルでは、解約できるタイミングが限られており、それ以外では9500円の解除料がかかる。その上、番号をそのまま引き継ぐナンバーポータビリティには手数料3000円がかかり、他社と契約する際にもやはり契約料金がかかる。

さらに、端末をSIMロック解除したとしても、利用できるサービスや周波数帯が異なるため、完全な利便性を確保できない場面も出てくる。こうしたさまざまなハードルを乗り越えていかなければ、総務省が描く顧客流動性を高めることはできないだろう。

アップルが抱く強い危機感

端末販売と通信サービスの分離徹底によって顧客の流動性を高め、競争による値下げ効果を期待する。通信コスト減というメリットが明確化すれば、総務省の施策に対して消費者からの支持も高まっていくことが考えられる。しかしその副作用が、端末の販売価格上昇として現れる可能性がある。

端末の値引き幅が2万円と示されたが、「これはiPhone排除の法改正だ」として危機感を強めているのがアップルだ。値引き幅の規制は、高付加価値化が進むiPhoneにとって、販売価格の上昇に直結するためだ。

iPhone X以降、定価が1000ドル以上、日本ではおよそ12万円からと設定された。スマートフォン飽和と需要減少よりも前に、利益を最大化すべく投入した高級モデルで、インフレが進むアメリカでも驚かれるような価格だが、消費者物価の加熱を見ない日本ではなおさら割高感が高まっている。

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