日本生産性本部の「労働生産性の国際比較」によれば、2017年の日本の1時間当たりの労働生産性は47.5ドル(購買力平価換算)であり、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国の中では20位と下位に位置しています。さらには、この労働生産性の水準はアメリカ(72.0ドル)やドイツ(69.8ドル)の3分の2程度にすぎず、先進7カ国の中では最下位の状況に甘んじているのです。これから人口減少が加速していく日本では、生産性の向上が不可欠であるという意見に対して、異論を差し挟む余地は少ないでしょう。
先進国にしても新興国にしても、大規模の企業が中規模の企業より、中規模の企業が小規模の企業より生産性が高いという傾向に変わりはありません。日本の生産性が先進7カ国の中で最も低い理由は、企業全体に占める小規模企業(零細企業)の割合が最も高い状況にあるからです。卸売業・小売業・飲食業などで従業員が5人以下、製造業・建設業・運輸業などで従業員が20人以下の小規模企業は、日本の企業全体の90%近くを占めていて、実に雇用全体の25%も担っているのです。
例えば、日本とアメリカの生産性における格差は、とくに卸売店・小売店・飲食店などサービス業の分野で生まれています。これらサービス業の分野は、日本とアメリカの両国で就業者数が最も多いのですが、従業員が10人未満の事業所数のシェアは日本が80%、アメリカが50%と大きな隔たりがあります。それゆえに、日本のサービス業がアメリカの同業と同じ稼ぎを得るためには、2倍以上の従業員を雇っている計算になるというわけです。
小売業の生産性低下に拍車をかけるコンビニの過剰状態
そういった日本の非効率性は、例えば小売店の業界では、ウォルマートなど超大規模な店舗が主流であるアメリカと比べて、日本がコンビニエンスストアを中心に個人経営・家族経営の小売店が多いということでも察することができます。人口減少に伴う需要減とネット通販の急拡大が重なり、日本ではすでに小売業の店舗数が過剰な状態にあります。それでも日本フランチャイズチェーン協会によれば、コンビニエンスストアの国内店舗数は依然として増え続けているといいます。
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