――トップアスリートだった鈴木長官は、今の部活の「量中心」の練習についてどう思いますか?
われわれがやってきた水泳では、まず技術を身につけてもらって、中学では有酸素運動によって体中に血管を作るために泳ぎこみをする時期があります。
それぞれのスポーツの特性はありますが、概して日本のスポーツは子どものころにやりすぎる傾向にあります。その結果として、確かにジュニア期にはすばらしい活躍をするのですが、あとから外国の選手が伸びてきて抜かれてしまうことがよくあります。小中学校時代にやりすぎて、バーンアウトをしたり、ケガをするのでは意味がありません。
――そうなるのは、指導者の啓蒙ができていないからと考えられます。
指導者の質が大事ですね。基本的には、専門的な知識を持った方が教えるべきだと思っています。先日、キューバに視察に行きました。キューバでも子どもの体を守るのが大前提です。
キューバでは、少年野球の指導者も体育大学やスポーツ系の大学でしっかりとした理論を学んでいます。また選手のモチベーションを高めるような勉強もしていました。
日本では「昔ちょっとやっていたので少年野球教えています」というふうな指導者が多いようです。そういう方の中には、昔の指導をそのまま、時代を超えて伝承してしまっていることもよくあります。昔スパルタで指導されたから、自分もそれでやっているというふうな形です。そういう方ではなく、しっかり勉強した人に指導してほしいと思います。
野球界は全体で議論をすべき
――東京五輪では野球は正式競技になりましたが、次のパリ大会は採用されませんでした。野球に対して今後、どのような期待を抱いていますか。
高校野球も含めて野球は大好きなスポーツの1つです。残念ながら2024年のパリ大会では、野球は採用されませんでした。それはなぜなのかを野球界全体で議論すべきだと思います。
「野球離れ」も深刻です。プロ野球から少年野球まで、日本にはいくつもの野球の団体があります。どこで何を議論すればいいのか、わからないのが現状です。
みんなが集まって「野球総会」のようなものを開くべきではないでしょうか。
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