子育てに必須「知育アプリ」に訪れている変革 アプリ開発者が「WWDC」参加を通して得たもの

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「新しい技術がどんどん投入され、よりなじみのある機会、機能に落とし込んでいくことができるのではないでしょうか。とくに、ARは使いやすかったと言えます。何か新しいことをやろうとしたとき、基本はiOSで進めさせてください、ということで開発をしています」(石田氏)

サブスクリプションは生みの苦しみ

アプリビジネスにも変革が訪れている。その中でスマートエデュケーションが経験したのは、サブスクリプションモデルへの移行の苦しみだった。

アプリには、無料で配布するもの、有料で販売するもののほかに、月額料金制のサブスクリプションモデルがある。無料アプリでは、広告モデルやアプリ内で課金するモデルなどが存在しており、スマートエデュケーションによると、とくにアジア向けでは教育アプリでも、広告モデルが好調だという。

これらビジネスモデルの中でアップルが注目しているのは、自社のサービスとともにサードパーティでも、サブスクリプションモデルの拡大だ。最新の数字では、アップル経由での契約数は3億9000万件と、1年間で1億2000万件も増加しており、2020年までに5億件を目指している。

スマートエデュケーションも、ビジネスモデル転換にあたり、このサブスクリプションモデルに白羽の矢が立った。有料アプリの場合、ヒット作を出し続けなければならないプレッシャーと、顧客との関係性が蓄積していかない問題点を解決できずにいたからだ。

しかしビジネスモデルをサブスクリプションに切り替えた直後は、「会社が潰れる寸前までいった」と、石田氏は振り返る。

これまでの売り上げ構造がいったんリセットされたからだ。しかしそうした期間を切り抜けて、目論見どおり顧客との強化された関係性を蓄積していくことができるようになったという。現在の転換したビジネス基盤を築くことにもつながった。

「サブスクリプション後、運営側の責任感が強まっていきました。有料アプリは買った瞬間から陳腐化していき、学びのアプリとしてそれではいけないと考えました。

また、サブスクリプション化によって、BtoBのビジネスモデルの確立がスムーズになりました。例えば、幼稚園に対してアプリだけでなく教材全体をサブスクリプションモデルで提供しています。今後は、体験全体を提供できたら面白そうだ、と思っています」(石田氏)

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