子育てに必須「知育アプリ」に訪れている変革 アプリ開発者が「WWDC」参加を通して得たもの
しかし公共の場での移動が多い日本では、泣きやまない子どもが他人から怒鳴られる場面にもよく遭遇し、子どもに不寛容な日本社会においては、うまく活用すべき「ツール」として重宝され、またそれも認められるべき存在であると考えている。
スマートエデュケーションが、子育てとスマホ・タブレット利用にきちんと向き合ってきた結果が同社のウェブサイトにも掲載されている。専門家とも議論を重ねながら策定された「乳幼児の適切なスマートデバイス利用に関する5つのポイント」という提言にも、これまでの取り組みや問題意識が込められているのだ。
その点、アップルが子どものiPhone・iPad活用に配慮しながらも、より積極的に学びに生かそうとして打ち出したカリキュラム「Everyone Can Code」「Everyone Can Create」は、スマートエデュケーションにとって非常に追い風だ。
「何を学ぶかだけでなく、何を体験するかでアプリを選ぶ視点が変わってきます。同時に、例えば発達障害の子どもが彩色をするアプリで特技を発見したりするなど、誰もが活躍できるチャンスと、親や教員が褒めるポイントをよりたくさん見いだせるようになっています」(石田氏)
WWDCは発見の連続
スマートエデュケーションの社員がWWDCに参加するようになったのは、7年前からだという。現地で最新のソフトウェアや開発環境に関するセッションが受けられることはもちろんだが、それ以上にアップル側が開発者に対して用意する「体験」が、非常に重要な役割を果たしている。
例えば2年前にアップルは「世界最大の拡張現実プラットホーム」を宣言するARKitと呼ばれるAPIを披露した。そして毎年、積み木の中でシューティングを行うゲームや、複数の人が同時に楽しめるレゴのアプリなどのデモを体験できる場が用意された。今年はより広いスペースで、アプリ内に合成された大玉転がしを楽しむゲームの体験コーナーまで作られた。
「こうしたアプリのデモは、開発者にとって、何ができるかが示され、アイデアのベースになります。新しいソフトウェアが披露されても、それだけでは何ができるかわからない。そうしたとき、アップルが示すデモやサンプルは、非常に大きな参考になります」(石田氏)
例えば「TO-FU おっ! 火事」というアプリで実現したAR消防士体験も、やりたかったことをアップルのデモでの実装を参考に実現できたそうだ。
そうしたインスピレーションとともに重要なのが、アプリがきちんと動くことだという。iOSのプラットホームでは、1年間で8~9割のデバイスに最新ソフトウェアが行き届き、5年前のデバイスでも最新のアプリがきちんと動作する環境が担保されている。開発からサポートに至るまでのコストを低く抑えることができる点で、iPhone・iPadが新しいことを試すプラットフォームとして、社内で認知されている。
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