「つながり」なきサブスクリプションは失敗する 収益化ではなく「ユーザー価値」の問題だった
定期券型サブスクリプションとは、ユーザーへの価値提案が売り切りモデルのプロダクトとほぼ同じまま、一定期間利用してもらうことを条件に、1回当たりの利用料を割安にするというモデルです。従来からある電車の定期券やテーマパークの年間パスポートがこれに該当します。ここ最近、とくに外食産業で導入傾向が目立ってきました。
課金を変えただけでは、うまくいかない
しかし、外食産業が安易に課金だけを変更すると、どうなるか。「企業有利、ユーザー不利」が顕著になります。通常のサブスクリプションと比べても、ユーザーにとって合理的でないことがよくわかります。図をご覧ください。
通常のサブスクリプションは、売り切りでは高くて買えないものをサブスクリプションで安く気軽に契約できます。30万円するソフトウェアがサブスクリプションにすれば月額5000円で利用できる、400万円する自動車がサブスクリプションでは月額5万円から利用できるなどです。
しかし、コーヒー飲み放題、ラーメン食べ放題などの定期券型サブスクリプションは、その発想と真逆です。なぜなら、すでにサービスとして1回当たり売り切りで提供しているものよりも、月額使い放題にして多額の支払いを前払いで要求するからです。
1杯300円のコーヒーが月額3000円で飲み放題、1杯800円のラーメンを月額8000円で食べ放題というのは、ユーザーにうまみがないのは明白です。最初こそ、「月に10回行けばモトがとれる」と足しげくラーメン屋に通ったとしても、実際10杯以上食べるのはしんどかったり、他のラーメンが食べたくなったり、食べているうちに塩分やカロリーなどが気になる人もいるでしょう。
要は、ユーザーが「モトがとれるか、とれないか」という発想以外は浮かばないサブスクリプションを提供している企業は、単に課金を変えただけ。
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