レアル移籍の久保建英は世界で爪痕を残せるか コパ・アメリカのサッカー日本代表はどうなる

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18歳の若武者がコパ・アメリカで日本攻撃陣をどう牽引し、ゴールに迫っていくのか。そこは非常に興味深い点である。

「チリはボールをさらしたりすると足ごと持っていかれたりとか、非常に危険な選手が多いと思います。そういう相手にどこまで自分のプレーを出せるのか。(バルセロナ所属のアルトゥーロ・)ビダル選手のようなレベルの高い相手に勝てれば、今後の自分につながってくる。

大口叩くわけじゃないですけど、自信がないわけじゃない。プレースピードもそんなに変わらないと思います」と本人も強気の姿勢を貫いている。

日本中からの圧倒的な注目度に関しても「いいニュースを届けられれば注目が2倍、3倍にもなると思うし、逆につまずいたらいい意味でも悪い意味でも取り上げられる。自分に残された選択肢としてはいいふうに取り上げてもらうしかない」とそれをエネルギーに変えていく覚悟を示した。

中島翔哉とのコンビにも注目

18歳の新鋭との2シャドー結成が有力視される中島も圧倒的な個の打開力を備えたアタッカーだ。すでに森保監督率いるA代表のエースに君臨していることからも、彼の実力のほどがよくわかる。加えて言うと、中島はFC東京時代に久保と一緒にプレーした経験があり、お互いに生かし生かされる関係をいち早く構築できるメリットがある。

「攻撃のところはどんどん仕掛けてほしいと。守備のところはしっかり連動してやるって感じのことをタケ(久保)には言いました。久しぶりに一緒にプレーできて楽しかった」とエルサルバドル戦後にも前向きに語っていただけに、コパ・アメリカではさらなる連携強化と多彩なコンビプレーが期待できそうだ。

2人が世界をあっと驚かせるようなパフォーマンスを見せれば、日本攻撃陣も活気づくし、勝利にも大きく近づくのは間違いない。そのうえでゴールという結果が生まれれば最高のシナリオ。そういうポジティブなムードを生み出してくれることを楽しみに待ちたい。

久保に中島、冨安、柴崎といったキーマンに注目しつつ、東京五輪代表のチーム完成度をチェックすること。そこにフォーカスしながら、今大会を見極めたいところだ。

(文中一部敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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