逃亡犯2人の「逮捕」につながった交際女性の影 指名手配容疑者を追い詰める刑事たちの奮闘
次から次に人をだまし、罪を重ね、逃亡を続ける男。これ以上野放しにしておくわけにはいかない。そこで、捜査共助課がとった手段は、指令室を設置し、モニターと無線を通じ、現場の動きや目撃情報をリアルタイムで集約、現場部隊に指示を出し、捜査車両5台、捜査員10人、さらに指令室の8人で、容疑者を追い詰めるというもの。現場の捜査員は情報があった付近を、くまなく捜索していく。
「4号(捜査車両)で手配車両発見となります」
男の車を駐車場で発見したとの一報が飛び込んできた。指令室は、航空隊のヘリコプターにも応援を要請。現場周辺の捜査員たちは男の車の元に続々と集結していた。確保の体勢が整うまであと少し。しかしここで、思いもよらぬ事態が起こる。
車とヘリコプターで逃走する男を追跡
「やばい」
モニターを見ていた指令室の捜査員が思わず声を漏らした。男が運転する車が一足先に動き出してしまったのだ。現場の捜査員は、男に気付かれぬよう一定の距離をあけ、すぐに後を追う。そして上空では航空隊のヘリコプターも追跡を開始した。
空と地上、一体となった追跡。絶対に逃がすわけにはいかない。最初に動きを見せたのは容疑者の男だった。捜査員の追跡を察知したのか、片側一車線の道路を突如速度を上げ、逆走したのだ。
無免許の男の危険極まりない運転。これ以上の追跡は一般市民を巻き込んだ重大な事故につながりかねない。指令室は、追跡を航空隊一本に切り替え、男を刺激しないよう、周辺車両に指示を送る。すると、またしても男が動きを見せた。
住宅街の一方通行路。そこに止まっていたのは、男が乗る高級国産車。しかし、車には誰も乗っていない。今度は車を乗り捨てて逃走した。いったい男はどこに逃げたのか。そのとき指令室では、ベテラン捜査員が男の行く先を導き出していた。それは、男が交際している女性のマンション。車を乗り捨てた地点からは、約1km程度しか離れていない。すぐにその家を張り込むと、室内に男がいることが確認された。
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