逃亡犯2人の「逮捕」につながった交際女性の影 指名手配容疑者を追い詰める刑事たちの奮闘
ようやく男を追い詰めた。しかし捜査のプロはあくまでも冷静だ。彼らが選んだのは、いわゆる『出待ち作戦』。「彼女を人質にとられるのが怖いので、それがいちばんいい」という。相手は、これまでも無謀な逃走を繰り返している危険な男だ。女性の安全を考慮し、男を確実に確保するため、捜査員は男が部屋から出てくるのを待つ。
男が潜伏する部屋の前で息を潜め突入の瞬間を待つ十数人の捜査員。そしてついにドアが開く。出てきたのは交際女性だった。事情を説明しすぐに室内に入ると部屋の奥には上半身裸でソファーに座る男の姿があった。
「警察っすか?怖いっすね……こんな大ごとになるとは思わなかった」
突入した捜査員に思わずこぼした男だったがだましていたのは被害者だけではなかった。
「彼女は何も知らないんで、言わないでください」
交際女性には「会社経営者だ」と偽っていた
「警察はウソつけないから」
「いや、だから何か聞かれたら何とかしてください。『今はちょっと話せない』とかごまかして……」
最後まで往生際が悪い男は無職にもかかわらず交際女性には「自分は会社を経営している」と偽り、だまし取った高級国産車を無免許で乗り回していた。
男を詐欺未遂容疑で逮捕。高級国産車は持ち主に返され、余罪についても詳しい取り調べが行われている。
指名手配されるほどの犯罪者といえど、人間としての弱みは同じ。2つの逮捕を手繰り寄せたわずかな手がかりは、いずれも犯人の男の交際女性の影だった。とはいえ、刑事たちがそこに賭けることができたのは、単なる勘やひらめきではなく、熟練した長年の経験と知識が根っこにあったからこそだろう。
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