「孫子の兵法」を仕事で応用する超基本ポイント 今さら聞けない基本知識を徹底的に解説
近現代でも日露戦争における日本海海戦で勝利した東郷平八郎も『孫子』を愛読。また、イラク戦争においてアメリカ軍が採用した「衝撃と畏怖作戦」は、国務長官のコリン・パウエル氏が『孫子』の思想を採り入れています。
冒頭でも述べましたが、『孫子』が用いられたのは、戦時だけに限りません。幅広くビジネスや経営にも活用されています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏やソフトバンク創業者の孫正義氏も『孫子』をビジネスで活かしています。
また、後世のビジネス理論、マーケティング理論にも多大な影響を与えています。経済的な戦略の意思決定にも使われる「ゲーム理論」や、マーケティングで使われる「ランチェスター戦略」などです。
ランチェスター戦略とは、もともと戦場における戦闘員の消耗度を数理モデルで示したランチェスターの法則を、マーケティングに応用したものです。経営コンサルタントの田岡信夫氏が、『孫子』も深く研究・応用し、経営戦略として世に送り出した理論でした。そこに共通するのは「弱者の戦略」です。
さて、情報を制して、戦わずして勝つ。この弱者のセオリーを体現した事例の一部を紹介しましょう。ここで、強大な敵に対して、どう身を処するかについての私たちが大変よく知る事例を挙げて解説します。
強大なライバルの「ミート」を避ける方法
ライバル会社が強大で、資金も人員も相手が優っているようであれば、真正面から対決することは避けるべきです。「強者」に対しては、マーケティングでもよく使われる「差別化戦略」をとることです。
逆に、強者は弱者を潰してさらにシェアを広げるために、真正面からの対決を挑みます。この戦略は特に「ミート」と呼ばれています。弱者としては、この強者の「ミート」をできるだけ避けるような戦略をとらなければ生き残れません。
それには、まず相手の動向を探り、観察することによって基本戦略を知り、差別化する必要があります。先行したヒット商品の二番煎じで売り出す戦略もありますが、これは一時的な売上しか見込めません。長く生き残るには、マネではなく、違いを出すために敵情を探るのです。
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