上司vs.若者「メール送った」と言うのは必要か 若者の「積もる不満」を上司が気づかない理由
「中島、ちょっといい? あのさ、大事なことはメールだけで済ませないほうがいいよ。申し訳ないんだけどさ、俺には1日に何十通もメールが届くんだよね。もし埋もれちゃってたら、お客様にも大きな迷惑をかけることになるでしょ?
メールを送ったら一声かける。そのほうが丁寧だし、後でトラブルにもならなくて済む。受け手の立場になって想像力を働かせてみてほしい。たかがメールと思うかもしれないけど、こういうのって一事が万事だからさ」
食い違う両者の言い分
中島くんは、「申し訳ありません」と謝ったが、いまいち納得していない表情だった。このケースでの両者の言い分は、こうなります。
最近の若いやつは、丁寧なコミュニケーションができないんだよな。こういうホスピタリティが発揮できてこそ、一人前のビジネスマンだっていうのを、教え続けなきゃいけないんだろうな……。
一声かけなかったほうが悪いっていうなら、メールを送る意味なくね? 確実に一度で伝わって、ちゃんと履歴も残るからメールがいいわけでしょ。それに浜野さんが席にいないことだって多いし、報告が遅くなったら今度は「遅い!」って怒るじゃんか。
いかがでしょうか。もちろん浜野課長もメールを軽んじているわけではありません。メールに口頭報告をプラスしてほしいと言っているわけです。しかし、中島くんの主張も正論ではないでしょうか。
1日に何十通、いや100通以上ものメールが届くのが当たり前の時代。これは私たちの世代には、確かにうっとうしいですよね。かくいう私も、つい見落としてしまうのではという恐怖の中で日々を送っています。でも、若者たちはスマホを武器に、毎日もっと多くの情報を得て、それを超高速で処理しています。そこでは、「見ていて当たり前」であり、見落としたほうが悪いのです。
一方で、上司からすると「自分の若い頃は、上司や先輩の都合に合わせて臨機応変に対応してきた」という自負があるのかもしれません。でも「そういう対応や気配りができるのが、仕事ができるやつだ。だからお前のためにオトナのマナーを教えてやってるんだ」などと思っていたら大間違い。若者は「俺が先輩なんだから、コンビニでパン買ってこい」と言われるスクールカーストと同等の不条理を感じています。さて、次の例を見てみましょう。
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