34歳「地図の新しい見方」を探求する男の仕事観

幼児期の原体験が「空想地図」につながった

今和泉さんは、母親の里帰り出産によって鹿児島市で産まれ、その後はずっと関東で育った。5歳までは横浜で暮らした。

「4歳の時にバスの路線図が好きになりました。知らない場所に行くのが、好きだったんです。実家には自動車がなかったので、出かけるとなると路線バスか電車でした」

父親と路線バスに乗ると、バスは横浜駅からだんだん離れて進んでいった。横浜駅から離れるに従い風景が変わっていく。

駅周辺のマンションが密集した地域を抜けると、林が現れた。空が広くなり、そして一軒家が並ぶ住宅街になっていった。

「ダイナミックに風景が変化していくのが好きでした。家に帰ってから路線図を見て振り返りました。『さっき聞いた地名の場所はここなんだ』とか未知の行き先を見つける入り口でしたね」

現在でも、今和泉さんはバスの路線図が好きだという。

「電車は電車で好きなんですよ。ただ電車の路線は限られているので、わりと簡単に覚えられます。

それに比べて地方都市のバスは、全然わからない地名だらけですからね。バス乗り場の名前を見ただけではそれがどこにあるかまったくわからない。それくらい難しいほうが脳のシナプスが働くし、血がたぎります」

7歳の時には自然と地図を書き始めていた

5歳になると一家で東京都の日野市に引っ越した。日野市は家族全員にとって初めての街だった。

家族で地図を買い、地図を見ながら家族で近所を散策した。

「家族で幼稚園を回ったのを覚えてます。引っ越しが5月だったので、なかなか受け入れてくれる幼稚園がなくて何軒か回りました。幼心に『ここの幼稚園の遊具は楽しそうなのに、行けなくて残念だな』って思ったのを覚えています」

それからも

『市立病院はどこだろう?』

『スーパーマーケットはどこだろう?』

と家族で地図を見る機会は多かった。自然と地図に親しみを持ち、7歳の時には自然と地図を書き始めていた。

「地図を描いた理由はとくになかったですね。迷路を描くのと同じような思考回路だったと思います」

初めの頃は、思いついては書き、飽きてはやめて、の繰り返しだったという。

幹線道路と川と鉄道を描き全体の構図を確定して、あとは街を細かく描いていった。

「両親の反応はプラスでもマイナスでもなかったです。遊びの1つとしては悪くはないけど、宿題があるならそっちを優先してね、というくらいの感じでした」

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