34歳「地図の新しい見方」を探求する男の仕事観 幼児期の原体験が「空想地図」につながった

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ハイブリッドワーカーは2011年から始めた。

アルバイトは、チラシ製作の会社で働いた。スーパーマーケット、学習塾、電気屋などのチラシを製作した。

「チラシ製作は、夜勤の仕事がたくさんありました。時給1600~2000円くらいでしたから、1日9時間で週4日働けば食べられました。またフリーのデザイナーのような仕事もしました。知人から依頼を受けて名刺を作ったりしました」

フリーの活動を続けていくと、世の中の空想地図への関心は徐々に高まっていた。

テレビ出演によって知名度が上がり…

2013年にはトークライブハウス「東京カルチャーカルチャー」でイベントを開催したり、「タモリ倶楽部」に出演した。

そして11月には『みんなの空想地図』(白水社)が発売された。

「イベントも本もテレビ出演も、提案があったので『ハイ』と答えていただけです。気がついたら、空想地図が面白がられるフックになっていましたね」

中村市内の落とし物、男性サラリーマンの財布。仕事の忙しさがうかがえるようレシートに刻印された時間がどれも深夜など、細部までこだわって作られている(写真提供:今和泉さん)

テレビ出演によって裾野の知名度が上がり、本の発売によりコアなファンが増えた。

最初の頃の収入は「自営業2:アルバイト8」の割合だったが、いつしか逆転して「自営業8:アルバイト2」の割合になった。

「それからは、さまざまな場所からバラバラの仕事が来るようになりましたね。

『講演会で話してくれ』と言われたらしゃべったし、『図書館でワークショップをしてくれ』と言われたらやりました。1万~3万円の小さい仕事が月5件くらい来るようになって、なんとか食えるようになりました」

架空の地図を作ってほしいという依頼もあった。テレビドラマの中で使用する地図だったり、小説や漫画の舞台の地図だったりした。年収の10%くらいは、架空の地図の製作で稼ぐことができた。

東京都現代美術館で開催された『ひろがる地図』展に参加して中村市の地図を展示した。

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