ジェネリック薬で初のカルテル、「主犯」は誰か 課徴金137万円、小さな談合事件の大きな意味

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今回の事件について、監督官庁の厚生労働省は「制度をゆがめる行為で遺憾だ」とした上で、「社外に対する説明責任の開示の仕方は企業自身が決めるべきこと」と語る。ただ、「こういう行為をしたのだから当然2社からは報告に来るものと考えている」と今後の対応を注視する姿勢だ。

2社が所属する業界団体「日本ジェネリック製薬協会」は「発表されたばかりなのでこれから検討するが、選択肢としては内規に定められた指導、警告、資格停止、除名などの処分もあり得る」という。

「データねつ造事件」という日本ケミファの過去

実は、日本ケミファには1982年に「データねつ造事件」を起こした暗い過去がある。

消炎鎮痛剤の「ノルベタン」や降圧剤「トスカーナ」、消炎鎮痛剤「シンナミン」などの新薬について、実際に臨床試験を行っていないのに虚偽のデータで効果があるように見せかけたり、副作用データ隠しをしたりして申請・承認を得て、販売をしていたのだ。製薬業界にとって前代未聞の事件で、当時世間を唖然とさせた。

当然、これら新薬の承認は取り消しになったが、当時の山口明社長(故人)が「処分が決まるまで販売したい」と発言。厚生省(当時)から80日間の業務停止処分がおり、信用がなくなったおかげで、ほかの新薬承認でも自主取り下げに追いこまれた。

この事件は、当時の開発部長が偽データを作成するように指示したとされる。日本ケミファの創業者である明社長は1953年の社長就任以来、当時約30年にわたって社長の座にあり、ワンマン体制下で風通しの良くない企業風土にその原因があったとされる。

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