このOD錠プロジェクトに関しては、コーアイセイにとって日本ケミファは、製造受託の仕事の発注者であり、販売力も持つ、いわば「生殺与奪の権」を握る存在だ。日本ケミファによる「談合の誘い」を断れば、ここでの大きな仕事を失うリスクがあった。両社の間に力関係の差があることを考えれば、問題ありだとわかっていても、日本ケミファの要請にコーアイセイが従わざるを得なかったと思われる。
公取委の公表資料からもわかるように、今回の談合事件は日本ケミファの主導で行われたことはほぼ明白だ。この後発薬を販売する会社が2社だけで、しかも圧倒的な力の差があったことが大きい。
コーア商事HDは「内部統制委員会を設置して信頼回復に務める。具体的には決まっていないが、役員報酬のカットを含めて検討している」という。日本ケミファは6月7日に再発防止策と役員等の処分を発表した。独禁法の順守規定とそのための「運用細則」(ガイドライン)などを制作することや社長以下の報酬自主返上などが主な内容だが、「事件が起きた経緯や組織的な関与の有無などについては答えない」とコメントしている。
より罪深いのは、ただカルテルを結んだということだけでない。後発薬の使用を後押しする国の政策に対し、国民の信頼を揺るがしかねない点だ。
後発薬普及のため、さまざまな恩恵措置
国は2020年9月末までに、数量ベースで後発薬の使用割合を80%以上にする目標を掲げている。初収載時の「薬価」(医療機関や薬局が患者の使った薬の代金として支払い請求する公定価格)において、先発薬の半値以下である後発薬に切り替えることで、医療費の抑制と医療財政を持続可能なものにすることが目的だ。
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