ジェネリック薬で初のカルテル、「主犯」は誰か 課徴金137万円、小さな談合事件の大きな意味
公正取引委員会が6月に入り、ある小さな談合(価格カルテル)事件について137万円の課徴金の納付を命じた。
独占禁止法違反による課徴金を命じられたのは、山形市に本社を置く売上高27億円の製薬会社「コーアイセイ」。課徴金とともに排除措置命令も出した。
コーアイセイの談合相手である、東証1部上場の中堅医薬品メーカー「日本ケミファ」の談合行為も認定したが、課徴金納付命令などの処分は免れた。日本ケミファは今回の事件について自主的に談合を申告したうえ、営業担当者に談合をしないように指示したことや、自主申告をして以降、談合行為から手を引いたことを公取委が確認したためだ。
卸会社向けの価格を不当につり上げた疑い
今回の事件の舞台になったのは、腎臓の人工透析患者などによく使われる高リン血症治療剤の後発薬「炭酸ランタンOD錠」(以下、OD錠)だ。図のように、卸会社に販売する際の価格(仕切値)について、メーカーである日本ケミファとコーアイセイがカルテルを結び、不当に価格をつり上げた疑いだ。
公取委によると、両社がカルテルを結んだ理由は単純明快で、「(価格の)低落を防止し自社の利益の確保を図るため」だったという。
今回の事件は後発薬(ジェネリック医薬品)として初めての談合事件となった。先発薬でも過去に製薬メーカーが談合で処分された事例もなく、たいへん珍しい事件となった。
コーアイセイの親会社は、東証2部上場の原薬等商社「コーア商事ホールディングス(HD)」だ。コーアイセイ自身は医薬品などの製造受託を長くメインにしてきたが、コーア商事HDは、後発薬事業の強化を狙い、その目玉として日本ケミファと手を組んでコーアイセイが開発・製造・販売したのがOD錠だった。
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