シズラー「アジア最大級の店」は何が違うのか 元祖サラダバーが「プレミアム」に転じた理由

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新たに加わったのが、都内で採れる野菜だ。

「収穫してから2日以内に届くので新鮮さが違います。これは一般的な流通市場から仕入れるより1日ぐらい短い。また、生産者の顔が見えるというメリットもあります」(上村社長)

一部の野菜を、都内新規就農者から構成される団体「東京NEO-FARMERS!」から仕入れる。いずれも都内の休農地を活用しながら、減農薬や、新しい品種の育成など、それぞれ熱い思いを抱く若者が集まっているという。活動に共感したことが、導入のきっかけになった。

食材をおいしく提供するための工夫も

「生産者がよく自分の野菜のショーケースを見に来て、お客様の反応を見て喜んでいますね。このように、生産者と消費者をつなぐ意味があります。また、従業員も、生産者の気持ちを知って、食材をより大切に扱う姿勢を学ぶ。大切なことです」(上村社長)

確かに、ブランド野菜などこだわりの食材を売りにしたり、品質や新鮮さをアピールするのは飲食店にあって今や当たり前。しかしそのこだわりを客に感じさせることができるかは、現場での扱いにかかっていると言える。調理人やホール担当者におもてなしの心があるかどうかで、できあがりの見た目やおいしさも変わってくる。そして方針を現場に徹底し、維持し続けるのは簡単なことではない。人材の質にもかかっているからだ。

シズラーでは、食材をおいしく提供するために具体的な工夫も凝らしている。

野菜は一貫して1~4℃で管理し、鮮度を確保。サラダバーのショーケースにおいても、野菜が入ったトレーの下から冷やすだけでなく、野菜の上側、ショーケースの側面からも冷気が流れ、カーテンの役割を果たしているため、温度が上がったり、水分が蒸発するということがない。シャキシャキという食感や瑞々しさといった、野菜のおいしさをそのままに楽しめるわけだ。

プレミアムサラダバーには「ブレッドバタープディング」(手前)やアップルクランブルなど珍しいデザートも(編集部撮影)

もう1つ、現代のニーズをよく捉えているのが、ドレッシングのほかにオイルやビネガーをそろえ、自分で調味できるようになっていること。健康に配慮しながら、野菜をシンプルに味わうことができる。

東京国際フォーラム店をはじめとする店舗では、プレミアムサラダバーのショートコース版と言える平日昼限定の「ランチエクスプレス」(1360円、価格は店舗によって異なる)を設定。サラダが専用プレート2枚分、ドリンク2回、スープとデザートが1回と量が限定されているものの、安くサッと食べられるのがメリットで、女性を中心に需要が高い。チーズトーストは別途55円でつけられる。

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