人類は「破壊」でしか平等化できないのか

「戦争・革命・崩壊・疫病」の凄まじい衝撃

世界大戦をきっかけに、平等化を推進する第二の主要な力である変革的革命が起こった。通常なら、内部抗争によって不平等が減ることはない。近代以前の歴史において農民一揆や都市暴動はありふれていたが、失敗に終わるのが普通だったし、発展途上国での内戦は所得の分配を平等にするどころか不平等を拡大することが多いものだ。

暴力的な社会再編が並外れて激しいものでない限り、それによって物的資源の入手しやすさが変わることはない。この種の社会再編は、平等化を促進する大量動員戦争と同じく、主として20世紀の現象だった。

共産主義者は、資産を没収し、再分配し、その後しばしば集産化を進めることによって不平等を劇的に減らした。こうした革命のうち変化を起こす力が最も大きかったものには、桁はずれの暴力が伴っていた。

それが生み出した死者数と人類にもたらした惨状は、最終的には世界大戦に匹敵するほどだった。フランス革命のように流された血がはるかに少ない闘争の場合、それに応じて不平等の縮小幅も小さかった。

第三の騎士:国家の破綻、体制の崩壊

暴力は国家をすっかり破壊してしまうこともある。国家の破綻や体制の崩壊は、かつては平等化を実現するとりわけ確実な手段だった。歴史の大半で、裕福な人々は政治権力の序列の頂点を占めていたか、さもなくば頂点にいる人々とコネを持っていた。

しかも、現代の基準からすると控えめながら、最低生活水準の維持を超える経済活動に対して国家による保護措置が講じられていた。国家が崩壊すると、こうした政治的地位、コネ、保護が脅威にさらされ、すっかり失われてしまうこともあった。

国家が崩壊すれば誰もが苦難に直面したはずだが、裕福な人々の方が失うものが多かったのは言うまでもない。つまり、エリート層の所得と富が減ったり消え去ったりすることで、全体的な資源分配の偏りが均されたのである。こうした事態は国家の成立以降、常に生じてきた。

知られている限り最古の例は、4000年前のエジプト古代王国やメソポタミアのアッカド帝国の終焉などである。こんにちでさえ、ソマリアの経験から、このかつて有力だった平等化の力が完全に消滅したわけではないことがわかる。

国家の破綻は、暴力的手段による平等化の原理を論理的極限まで押し進めるものだ。つまり、既存の政治形態の改革や改造によって再分配や再調整を実現するのではなく、より包括的に過去を清算してしまうのである。

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