人類は「破壊」でしか平等化できないのか 「戦争・革命・崩壊・疫病」の凄まじい衝撃

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その他の要因の記録を見るといずれにも問題がある。古代から現代に至るまで、土地改革によって不平等の減る傾向が最も大きかったのは、それが暴力や暴力の脅威と結びついている時だった──そして、最も小さかったのはそれらと結びついていない時だった。

マクロ経済の危機は所得と富の分配に一時的な影響を及ぼすにすぎない。民主主義はそれ自体で不平等を軽減するわけではない。教育と技術的変化の相互作用が所得の分散に影響することは間違いないが、教育やスキルに基づく収益が暴力的な衝撃に大きく左右されやすいことは歴史から明らかだ。

四騎士に代わる平等化の手だてはあるのか

最後に、現代の経済発展がそれ自体で不平等を減らすという見解を支持する有力な経験的証拠は存在しない。四騎士が生み出すものと多少なりとも似通った成果をあげた無害な圧縮手段のレパートリーは存在しないのだ。

とはいえ、衝撃もいつかは和らぐ。国家が破綻しても、遅かれ早かれ別の国家が後釜に座った。疫病が収まると人口収縮は反転し、新たな人口増加のおかげで労働力と資本のバランスは徐々に以前のレベルに戻った。

世界大戦は比較的短い期間で終わり、その余波は時とともに消え去った。要するに、最高税率と労働組合の密度は下がり、グローバリゼーションは進み、共産主義は過去のものとなり、冷戦は終結し、第三次世界大戦のリスクは遠のいた。

こうした事態のすべてを念頭に置けば、近年における不平等の再拡大がいっそう理解しやすくなる。昔ながらの暴力的な平等化装置は目下のところ休止状態にあり、予測できるほど近い将来に復活することはなさそうだ。同じような効果のある新たな平等化のメカニズムは、いまだ現れていない。

最も進んだ先進諸国でさえ、再分配と教育によっては、再分配前の所得の不平等の拡大圧力を吸収しきれなくなっている。発展途上国の場合はもっと達成しやすい目標があるのだが、財政面の制約が依然として強い。平等を大きく推進する方法を投票で決めたり、整備したり、教えたりする簡単な方法はないようだ。

世界史的な観点からすると、こうした事態は驚くに当たらない。おそらく、大きな暴力的衝撃とその広範な影響から切り離された環境で、不平等の大幅な圧縮が実現したケースはほとんどないだろう。将来は状況が変わるだろうか?

ウォルター・シャイデル スタンフォード大学教授

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Walter Scheidel

スタンフォード大学人文科学ディカソン教授、古典・歴史学教授、人類生物学ケネディ - グロスマン・フェロー。1993年ウィーン大学Ph.D.(古代史)。著者・編集者として16冊に及ぶ記事を上梓し、近代以前の社会・経済史、人口計量学、比較史に関する幅広い研究成果を発表している。近刊誌として、帝国の失敗と繁栄への道、Princeton University Press、2019。

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