人類は「破壊」でしか平等化できないのか

「戦争・革命・崩壊・疫病」の凄まじい衝撃

最初の三人の騎士はそれぞれ別の段階をあらわしているが、これはそれらが順番に現れそうだという意味ではなく──最大級の革命が最大級の戦争をきっかけとしていたのに対し、国家の破綻には同じように強力な圧力は必要ないことが多い──その激しさに関しての話である。

各騎士に共通しているのは、暴力をテコにして、政治的・社会的秩序とともに所得と富の分配を再構築するという点である。

第四の騎士:感染爆発

人為的な暴力には昔からのライバルがいる。かつては、疫病、天然痘、はしかが、最大の軍隊や最も熱烈な革命家でさえ望みがたい激しさで大陸全体を破壊したものだ。

農耕社会では、病原菌のせいで人口のかなりの部分(時には3分の1以上)が失われたため、労働者が不足し、固定資産をはじめとする非人的資本の価格(これは以前のまま変わらないことが多かった)と比較して労賃が上昇した。結果として、実質賃金が上がって地代が下がったため、労働者は得をし、地主や雇用主は損をした。

こうした変化の規模を調整したのは社会制度だった。つまり、エリート層はたいてい法令や武力を使って既存の仕組みを維持しようとしたが、平等化を進める市場の力を押さえ込めない場合が多かった。

感染爆発を加えれば、暴力による平等化の四騎士が出そろう。だが、もっと平和的に不平等を減らす別のメカニズムも存在したのだろうか? 大規模な平等化を想定するなら、答えはノーだと言わざるをえない。

歴史全体を通じて、記録に見られる物質的不平等の大規模な圧縮はすべて、これら4つのうち1つ以上の平等化装置によって推進されたものだ。しかも、大量動員戦争や革命は、その事件に直接関わる社会を左右しただけではなかった。

世界大戦や体制に挑む共産主義者との接触によって、周辺社会の経済情勢、社会的期待、政策立案も影響を被ったのだ。こうした波及効果を通じて、暴力的衝突に根ざす平等化の効果がさらに拡大した。

だとすれば、1945年以後の世界の多くの地域における発展を、それに先立つ暴力的衝撃とその持続的影響から切り離すことは難しい。非暴力的な平等化の最も有望な候補は、2000年代初頭のラテンアメリカにおける所得の不平等の減少かもしれない。だが、こうした動向は依然として広がりに欠けているし、今後も続くかどうかははっきりしない。

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