チケット争奪戦のプロ野球、転売対策は進むか 観客動員増のベイスターズは具体策も講じる

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ライト後方に設置されたウィング席のキャパシティは3500席、2020年にはレフト側後方にも3500席の増設が計画されている(編集部撮影)

ベイスターズの本拠地である横浜スタジアムには、ライト側スタンドの増築・改修工事を終えた今シーズンからウィング席(約3500席)が新たに設けられ、ほとんどの試合で3万~3万2000人近い観客が押し寄せる。

ホームゲームは年間で約70試合。このペースでいけば、球団史上最多を更新する、延べ220万人ほどの動員が見込まれるという。

この膨大な母数の中から、不正転売されたチケットを特定しなければならないのだ。

ベイスターズの試合時のハマスタの様子。この中から不正転売されたチケットを特定するのは至難のわざだ(写真:横浜DeNAベイスターズ提供)

先述したとおり、来場者の身分証とチケット券面を照合し、不一致の場合は、入手の経緯を確認。

知人間の譲渡なのか、営利目的の悪質な転売によって譲渡されたものなのかを見極める。

もちろん、オークションサイトなどに出品されたチケット情報の確認も常時行っているほか、人気の席種をいつも上限枚数いっぱいまで購入する人には注意を払い、そのチケットが購入者本人によって使われているかどうかもチェックする。

大量購入している人が単に熱心なファンであり、仲間のチケットを買っている可能性も当然あるわけで、拙速な判断は禁物だ。不正に流通しているチケットは数%にすぎないので、それを見つけ出すのは困難を極める。

野田氏によれば、不正転売を行う人物は、ファンクラブ会員の中に紛れている可能性があるという。

「ステージが高いファンクラブ会員ほど真っ先に人気席種のチケットを購入できるので、不正転売を考える人はそのカテゴリーに含まれている可能性が高い。不正が確認できた場合は退会処分にして、以後チケットを買えないようにするというペナルティを科すことで対応しています」

これまでは、あくまでファンクラブ会員規約への違反が処分の根拠だった。チケット購入の手段を断つことはできても、球団がそれ以上の罰則を与える権限はない。

6月14日からチケット不正転売禁止法が施行

ただし、今後は状況が変わる。6月14日からチケット不正転売禁止法が施行されるからだ。この法律は、定価を超える価格での譲渡を業として行う(反復継続して行う)ことを禁じ、違反すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(または併科)の対象となる。

「法の施行後は、不正転売は犯罪行為に当たるので、場合によっては警察と連携する必要も出てくるでしょう。そうなれば撲滅に近づいていくと期待しています」(野田氏)

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