チケット争奪戦のプロ野球、転売対策は進むか 観客動員増のベイスターズは具体策も講じる

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横浜スタジアムの新名所であるウィング席から見た球場の風景(編集部撮影)

総数に上限があるチケットを、公平・公正に行き渡らせることは案外難しい。

チケットの総数を上回る数の購入希望者がいる場合に、どういう販売手法を採用するか。球団によって考え方が分かれるところだろう。

ただ売るだけなら、極端に言えば、すべてのチケットを1つのどんぶりに盛って、早い者勝ちで売るような方法もあるだろうし、転売業者の買い占めに目をつぶって売ることだってできる(法施行後も、興行主=球団には「適正な流通の確保」に関する努力規定はあるが、対策が義務づけられているわけではない)。

一部の人だけがたくさんのチケットを購入できたり、目当てのチケットを買えなかった人の不満が膨らんだりはするだろうが、すべて売り切ってしまいさえすれば球団の売上に影響はない。

プロ野球のチケット不正転売対策はどこまで進むか

だが、球団が手にするものは変わらないからこそ、チケットの売り方はファンへの向き合い方、顧客重視の度合いを浮き彫りにするような気がする。

ベイスターズのオフィシャルパフォーマンスチームdiana(ディアーナ)と満員のハマスタ(写真:横浜DeNAベイスターズ提供)

ベイスターズの現在の人気を考えれば、開幕前に全主催試合の指定席チケットを売り出せば、ほとんど売り切ることができるはずだ。

また、ベイスターズがチケットの不正転売対策に積極的に取り組んだところで、コストこそかかるものの、チケット収入が増えることはない。

にもかかわらず、販売時期・チャネルの分散化や不正排除への手間を惜しまないのは、ファンの利便性や公平性を第一に考えているから、とも言えるだろう。

法の施行を追い風に、ベイスターズからの転売業者の駆逐が本当に進むのか。2月に発表した3項目の1つ、公式の二次流通マーケット設置がはたして実現可能なのか。ベイスターズのチケット流通に対する取り組みはまだ始まったばかりであり、苦労に値するだけの成果が得られるかどうかは未知数だ。

それでも、この問題から目を背けず、解決の道を探る姿勢は評価にあたいする。他球団も、正当な手段でチケットを買うファンのことを思うならば、不正転売防止に取り組む姿勢をより鮮明に打ち出すべきではないだろうか。

日比野 恭三 スポーツライター

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ひびの きょうぞう / Kyozo Hibino

1981年、宮崎県生まれ。PR代理店勤務などを経て、2010年から6年間『Sports Graphic Number』編集部に所属。現在はフリーランスのライター・編集者として、野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを取材対象に活動中。

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