月給17万円から「プロ野球審判」の過酷な現実 審判に転向した元選手は長年いない

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華やかなプロ野球選手の活躍の裏で、日々野球と向き合う審判の世界というもう1つのドラマを追った(写真:Robertus Pudyanto - Samurai Japan/ Getty Images) 
野球経験者ならば「審判は石ころと思え」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。華やかなプロ野球選手の報道の裏で、日々、野球と向き合い、選手と向き合い、黙々と仕事をこなしているのが審判だ。
プロ野球を数十年見続けているファンでさえ、審判の世界を理解しているのはごく一部だろう。パ・リーグ審判員として29年、NPB審判技術指導員を8年つとめた山崎夏生氏にベールに包まれた審判の世界を語ってもらった。

NPBには現在、61人の審判が所属している。現役の審判が55人、現役の審判を指導する技術指導員が5人、そのすべてを統括する審判長が1人という内訳だ。審判には、元プロ野球選手が多いのではないか? そんなイメージを抱く人も少なくないだろうが、審判になった元プロ野球選手は2001年を最後に現れていない。理由は、その過酷さが背景にあるのではないかと言われている。

審判になるには長く厳しい試練が待っている

「審判になるには、2013年12月に開校したNPBアンパイア・スクールを受講しなくてはいけません。募集は年に1度。130~170人の応募者の中から一次審査を通過したおよそ60人が受講できます。

当記事は、AERA dot.の提供記事です

審判を目指す人がほとんどですが、審判技術向上のために中学・高校の野球部の顧問やアマチュア野球で指導的立場にある人なども参加します。少数ですが、女性の参加もあります。

アメリカの審判学校が5週間かけて行うメニューをおよそ1週間で行うため、受講内容はハード。朝9時から実戦に即したプレーへの対応、投球判定などを学び、夜は座学で講話やルールの勉強、毎日テストも実施します。毎年何人かはリタイアしますね」(山崎氏)

スクール終了後、成績優秀と認められた受講生のみ「NPB研修審判員」として採用される。採用人数は毎年わずか3~4人、研修期間は1~2年だ。「NPB研修審判員」になると、独立リーグである四国アイランドリーグplusやBCリーグに派遣される。NPBの指導員や独立リーグの審判部長が、球審、塁審としての動きをスタンドからチェックし、基礎を徹底的にたたき込む。

毎年10月に宮崎で行われるフェニックス・リーグを最終試験とし、合格を果たせば「NPB育成審判員」として採用される。

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