日本の大動脈「東名高速」50年で積み上げた功績 「輸送革命」後押し、周辺地域の人口増にも

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東名は、来年度には建設中の新東名御殿場JCT―伊勢原JCT間が供用開始となる予定で、海老名以東が未定という課題はあるにせよ、名神より一足先にダブルトラック(全線で同じ路線に2本の高速が並行して走ること)が実現する。新東名ではすでに一部区間で最高速度が120kmに引き上げられたり、トラックが隊列を組んで走行する実証実験が始まるなど日本の高速道路界をリードしており、まさに日本の背骨を担う重要なルートの座を不動のものにしている。

その一方で、海老名前後の上下両線の休日を中心とした渋滞の完全解消のメドは立たないなど、課題を背負い続けたままという側面もあり、そこもまた日本を代表する高速道路の一面でもある。

全SAで「リアル謎解きゲーム」も開催

今年に入って、NEXCO中日本では、東名50周年を記念した多くの関連行事をサービスエリアなどでスタートさせている。テレビでは建設当時の映像も交えた50周年をPRするCMも流されている。

ちょうど50周年にあたる5月25、26日の週末には、東名の今昔を伝える写真展やステージイベントなどさまざまな催しが集中した。足柄SA下りエリアでは、50周年を記念したモニュメントが完成、26日には除幕式も開かれた。さらに、25日から7月15日まで、東名の全サービスエリアを対象に「リアル謎解きゲーム」が開催されるなど、しばらくは50周年を彩る風景が沿線に展開されよう。

こうした盛り上がりの一方で、橋脚などの老朽化をはじめ、50年を経たいわゆる「勤続」疲労への対応も待ったなしであるし、相変わらず逆走やあおり運転といった、大事故につながりかねないマナー違反、法令違反が後を絶たないなど、高速道路が抱える課題も以前よりむしろ深刻な状況にある。

全通100周年を迎える50年後、高速道路がどんな風に進化し、安全で快適な基幹インフラとして機能し続けているのか、今とはまったく違った風景ではあろうが、その進化の過程を見続けていきたい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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