先日、島根県松江市に本社のある鳥取・島根県の地元紙「山陰中央新報」の記者から、山陰道の整備状況についてコメントを求められた。
国土を貫く幹線高速道路の整備がかなり進んできているなか、鳥取市と下関市をほぼ国道9号線に沿って建設が進められている山陰道は、2018年4月現在、総延長380㎞のうち、まだ45%しか供用されておらず、しかもその供用区間はどうしたらこんなに細切れにできるのかというほど、途切れ途切れになっている。
今回、あらためて今後の高速道路のありようについて考えてみた。
災害時の代替道路の必要性は高い
記者の話によると、取材のきっかけの1つが、今年7月の西日本豪雨で山陽道も中国道も広範囲にしかも長期間通行止めになったことにより、関西以東と九州方面を結ぶ車両が山陰道やその前後の9号線の在来区間に殺到して大渋滞を引き起こしたことにあるという。
西日本豪雨のときの7月8日の通行止め区間を確認すると、山陽道は福山西IC~広島IC、中国道は北房IC~庄原ICとなっており、山陽道と並行する国道2号線も寸断されていたため、トラックなどが山陰側に集中、山陰道が一度途切れる出雲ICから西は、大田市、江津市を越え、浜田市まで延々と渋滞が発生していたことが当時のニュースやツイッターの投稿などでうかがえる。
山陰道は、日本海側を東西に貫く大幹線とはいえ、本来の高速道路である「高速自動車国道」の区間は、松江玉造JCT(ジャンクション)~出雲IC、浜田JCT~浜田ICの2区間のみで、それ以外は一般国道の自動車専用道路としての整備である。
しかも松江玉造JCT~宍道JCTは松江自動車道、浜田市の区間は浜田自動車道が路線名となっていて、全体のうち独自の高速道路として整備されているのはごくわずかである。
現在の開通区間で最も連続しているのは大栄東伯IC~出雲IC間で、およそ100キロメートル。その東側に2区間、西側に6区間の細切れ開通部分があり、全体を通して走ろうとすると9回も高速道路区間と一般道路区間を出入りすることになる。これでは高速道路としての一体性が保たれず、整備を進めたくなるのもうなずける。さらに、まだ調査にすら着手できていない区間が全体の24%もあって、全線開通のメドはまったく立っていない。
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