子どもの「好き嫌い」がなくならない3つの理由 なぜ「うちの子は食べ物を残してしまう」のか
「五味」のなかで甘味・塩味・うま味は、生きていくために必要不可欠な栄養素なので、自然と好んで食べるようになっています。
逆に、苦味や酸味は本能的に毒物や腐敗物など身体に悪そうなものと判別するため、危険信号を出します。ですから、自然と食べなくなります。つまり、小さい子どもが甘い飲み物や塩味の食べ物を好み、苦みの強い野菜や酸味の強い酢の物を嫌うのは本能的なものだと言えるのです。
学校給食では、苦味や酸味を消すための工夫として、ピーマンなどは繊維に沿ってカットすることで苦みを抑えたり、酸味の強いトマトなどを使った料理はじっくり煮込んで酸味を飛ばし、まろやかにしたりと一つひとつの食材と向き合いながら調理しています。
そのほかにも出し汁の旨味成分の特色を生かし、苦みや酸味を和らげる調理方法を使用しています。給食で出されたピーマンやトマトはパクパク食べるのは、調理法に工夫が隠されているからです。
初めて口にするものに警戒心を持つ
子どもは、初めて口にするものに対して強い警戒心を持つと言われています。たまたま初めて食べたものがおいしくなかったり、刺激的な味だったりすると、その時の記憶が脳に刻まれ、さらに新しいものへの警戒心を強めてしまいます。
例えば、「緑色の野菜は嫌い」というように、視覚から特定の食べ物に苦手意識を持つ人もいます。これは最初に食べた緑色の食材に、脳の中で悪いイメージを描いてしまっているからです。
本能的に避けている苦味や酸味のある食材について、悪いイメージが強く残ると、大人になってからもなかなか消し去ることはできません。イメージが悪いと食材の味も悪くなり、挽回するのに時間がかかります。人も料理も第一印象がとても大事なのです。
例えば、緑の野菜に含まれている苦味成分(ポリフェノールなど)が体にとてもいいのは、みなさんもご存じかと思います。
しかし、子どもの場合、耐性がついていない苦味成分がちょっとでも口に入ると脳が「体に害を及ぼす毒」だと瞬時に判断し、体内から出すようにシグナルを送ります。さらに、子どもの舌にある味蕾は大人の3倍も感度が高いと言われているので、嫌がる理由は十分に理解できます。
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