あなたの周りの「理解不能な人」には原因がある やっかいな人の心理と解決するための心構え

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③関心を示してもらえない

こちらの提案に対して「うまくいかないだろう」と、はなから後ろ向きな人は、ほったらかされて育った可能性が高い。

『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法 /レッカー由佳子(監修)、室﨑育美(翻訳)』(あさ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

子どもがあることを達成したとき、後ろを振り返ってみても、関心を示してくれる大人がいなかったり、あるいは子どもが落ちこんだとき、大人たちが自分の関心や問題で精一杯だったりすると、子どもは恐怖心を抱き、恐怖のなかで自分は独りぼっちだと気づく。

このような経験によって、子どもは悲観的かつ絶望的、そして「どうせ何もうまくいかない」という考えかたをする人間になるのだ。

チャレンジすることも、つまずいて痛い思いをすることも怖れて成長し、子ども時代に体験した、恐怖のなかの孤独感を再び味わうことを怖がるのだ。このタイプの人は「失敗するなら何もしないほうがマシ」という、やっかいな思考になるのだ。

健全な精神への道は、1つだけ

では、こういった“やっかいな人”には、どう対処するべきなのか、それは1つしかない。相手の「心の支え」になってあげることだ。最も健全な精神の持ち主を思い浮かべてほしい。落ち着いていて、賢く、理性的で、親切な人を。私の経験では、このような人はたいてい、ある幼年期を経て強く、苦難に負けない人になっている。このような人は幸せだ。

メンターである大人たちから教えられ、導かれてきた。大人たちはもちろん完璧ではなかったが、いわゆる「子どもの成長の糧になるもの」を与えてくれたのだ。このようなメンターが身近にいると、子どもたちは安心感と自信とともに成長していく。

その結果、強い精神が育つのだ。新たな挑戦にも、「大丈夫だ、できる」と思える。心のなかに、慕っているメンターの支えがあるからだ。もちろん、このような人たちでさえも、異常な行動をとることがある。しかし、だれだってそうであるように、それは一時的なもので、ずっとそのように生きるわけではない。支えてくれる親がいなくても、落ちこまなくていい。いいコーチ、教師、メンターに恵まれれば、健全なものの見かたに変えてくれることもある。

あなたにとって「やっかいな人」は理解しがたいかもしれない。しかし、上記のような幼少期の背景が潜んでいる場合が多い。「やっかいな人」の心の支えになることは難しくても、こうした背景や心理テクニックを知っておくことで、どんな環境でも冷静になり、楽に生きることはできるのだ。正しい選択をすることができるのだ!

マーク・ゴールストン 精神科医

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Mark Goulston

精神科医、コンサルタントおよびビジネスコーチ。FBI の人質解放交渉のトレーナーも務め、現在は世界の有名企業のトップたちを指導するコーチとして活躍。精神科医としては、「全米トップ精神科医」(アメリカ消費者調査評議会の選定)に選ばれている。 クライアントに、IBM、ゼネラル・モーターズ、ディズニー、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーなどがある。博士の言葉は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』『フォーチュン』および、『ハーバード・ビジネス・レビュー』『ビジネス・インサイダー』『ハフィントン・ポスト』など多くの出版物で特集されている。著書に、『最強交渉人が使っている一瞬で心を動かす技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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