学生が軽蔑した面接担当者の「ひんしゅく発言」 セクハラや就職差別につながる質問が横行

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理由はわからないが、自社の悪口を言う面接官がおり、学生を戸惑わせる。会社に不満を持っているのかもしれないが、不満は同僚や上司にぶつけるべきだろう。そもそも悪口を言っても人から尊敬されない。学生に話して憂さ晴らしをしているのかもしれないが、そういう社員を面接官に起用することで企業は信用を失っていく。

「離職率が高く同期入社の社員は半分以上いない、やりがいはあまりない、などネガティブな発言が多かった企業」(理系・上位国公立大)

「退職者が出る。酒の席が多いため、カラダを壊す人がほとんど」(理系・その他国公立大)

見当違いの発言が多すぎる

今回の調査は、就活を終えた学生に「人事に言ってほしくなかった言葉」を聞いたものだが、面接と関係ない世迷い言を話す人事がかなりいることに驚いた。

「仕事は辛いもの」(文系・上位私立大)と話す面接官がいる一方で、「社会は適当でもなんとかなるよ」(文系・中堅私立大)という発言もある。もちろん両方とも正しいかもしれないが、面接は学生に訓示する場ではない。この手の説教は、採用して職場の後輩になってからたっぷりすればいい。

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驚いたのは、「日々心がけていることという私の質問に対し人事が『定時退社』と答えたこと」(文系・その他国公立大)という面接官がいることだ。学生は言ってほしくなかった言葉としているのだから、仕事に対する怠慢な態度と受け止めているわけだ。表現がよくないと思う。「仕事のやり方を創意工夫して定時に退社できるように心がけている」と説明すべきだ。

2010年代に入ってからキャリアセンターでの指導が充実してきており、学生の意識は高まっているし、勉強もしている学生が増えている。ところが、企業の面接官教育は不十分に見える。

とくに足りないのはコンプライアンス教育だ。現在の面接では面接官の不用意な発言が多すぎる。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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