日銀と外国人投資家の「深い谷」

年の始め、今年の日本経済を考えてみる

しかるに正直なところ、今の筆者の気持ちは複雑である。「自分だけのアイドル」と思っていた少女が、ある日突然にブレイクしてしまい、秘かに喪失感を味わっているオタク少年みたいなものだ。こういうとき、少年はこんな風にふて腐れるものであろう。

「ふんっ、みんなは本当のあの子のことを知らないのさっ!」

ということで、不肖かんべえによる「黒田官兵衛」論は、今月下旬発売の『新潮45』に掲載される予定である。拡散希望。などという私情と宣伝はこれくらいにして、年の初めにつき、今年の日本経済について考えてみよう。

1997年の消費増税時の特徴とは?

今年最大の注目点は、消費税増税の影響がどうなるかである。この問題については、1997年の増税時(3%→5%)の経験から、景気への悪影響を懸念する向きが少なくない。

しかし、1997年と2014年はかなり違う。少なくとも人口動態が大きく変わっていることを考慮する必要があるだろう。

1997年当時は、団塊世代(1947~49年生)の先頭はちょうど50歳であり、団塊ジュニア世代(1971~74年生)の先頭は26歳だった。わが国の人口動態における2つの「こぶ」が、「可処分所得が上がる40代終盤」と、「怖いものなしの20代中盤」に当たり、いずれも消費性向が高かったのである。

ちなみに、JRAの売上げが4兆円を超えて史上最高を記録したのもこの1997年である。2013年のJRA売上げは、2年連続の増加となったとはいえ、2.4兆円に過ぎなかった。いかに90年代後半の馬券がよく売れていたかが分かるというものだ。

それだけではない。音楽ソフト、出版、ゲームソフトなど、エンターテイメント産業の多くが1995~1997年頃に売上げのピークを迎えている。最近は、この現象を「デフレが諸悪の根源」と説明する向きが多い。それでも、売上げ=単価×個数であるから、デフレ(単価)のみならず、人口動態(個数)もまた大きく響いていたことは間違いないだろう。

つまり1997年は、全国的に消費性向が高まっていた時期であった。そこで消費税率を上げたところ、巨大な駆け込み需要が発生し、反動減もまた大きなものとなった。そのために、4月以降に景気が後退したところへ、7月にはアジア通貨危機が訪れ、さらに11月には山一證券と北海道拓殖銀行が経営破綻して、日本経済全体がドツボに落ち込んでしまったのである。

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