日銀と外国人投資家の「深い谷」 年の始め、今年の日本経済を考えてみる

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ところが2014年ともなると、事情はかなり変わっている。団塊世代の先頭はすでに67歳であり、ほぼ年金暮らしの年代に入っている。となれば消費性向も強くはないし、モノよりはサービス消費が中心になっている。おそらくは、医療費や通信費や旅行費などへの出費が増えているはず。これらのサービス価格は、増税分を価格に転嫁しやすいし、価格弾力性も高くない。とすれば、消費税増税の影響は以前ほどではないだろう。

他方、団塊ジュニア世代は40歳前後に差し掛かっており、いろんな意味で物入りな年代である。ただしこの世代は、以前から「結婚しない、家を買わない、見栄を張らない」との定評がある。概してモノへのこだわりが少ない世代だけに、こちらも増税への反応は限定的であるかもしれない。

もしも駆け込み需要が小さいとすれば、4月以降の反動減も小さくて済む理屈である。常識的に考えれば、「駆け込み需要は小さかったけど、反動減は大きかった」などということはあり得ない。

消費税のマイナス効果は少ない?

もう一点、貿易をめぐる構造が当時と違うことを指摘しておきたい。1997年の輸出は51兆円。当時の日本経済は、今よりも貿易依存度が低いのだ。その点、今は輸出が70兆円台になっている。そして輸出は、消費税の影響をさほど受けない。現状では円安にもかかわらず、輸出は数量ベースでは目に見えて増えていない。ただし今後は国内生産回帰とともに、少しずつ伸びていくであろう。さすれば生産循環は、1997年当時に比べれば増税の影響を受けにくい。これまたひとつの楽観材料となる。

こうして考えてみると、消費税増税の効果は意外と小さいのではないか。景気の落ち込みを防ぐために、5.5兆円の補正予算も用意されている。少なくとも、1997年との単純な比較論は意味がないと思うのである。

次ページとはいえ、心配のタネもある
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