奇想天外な映画が「旅は人生を変える」を教える 「スマホで書いた」フランスの人気小説映画化
人生は旅のようなものだ。まるで行く先を決めない旅がそうであるように、人生だって一寸先は何が起こるかわからない。だから人生は面白い――。
そして、旅から人生が大きく変わることもある。それをコミカルかつ丁寧に描いた作品が6月7日に公開される。映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』だ。その主人公であるインド人青年アジャが体験する旅は、まさに驚きの連続で、なおかつ人生に気づきを与えてくれる。
アジャは、インドのムンバイからフランス、そしてイングランド、スペイン、イタリア、リビアへと、世界各国を旅してまわる。その移動手段はクローゼットを筆頭に、気球、トランク(!)など、想像の斜め上をいくものばかり。まさに寓話的物語が展開される。
本作を映画化するにあたり、ケン・スコット監督は、実際に物語と同じ場所で、現地の空気、雰囲気、文化を肌で感じることが不可欠であると考えた。そこで撮影スタッフはヨーロッパを中心としたさまざまな国を訪れ、場所ごとに手法を変えながら撮影を行ったという。その国ごとの雰囲気の違いを感じることで、観客も世界を旅する疑似体験が可能となる。そしてそれが旅情をかき立てる。
観客も世界を旅する疑似体験ができる
物語は、少年院を訪れた教師のアジャが、少年たちに冒険譚を話し聞かせるところから始まる。初めは反抗的だった少年たちも、アジャが話して聞かせるその物語に耳を傾けるうちに、次第にその奇想天外な内容に魅せられるようになっていく。
主人公のアジャは、幼い頃から路上でマジックショーを披露して生きてきた。しばしば盗みを働いてしまうこともあったが、それは一度も会ったことがない父親に会いにいく旅費を稼ぐためだった。
しかし夢半ばで母が他界。彼は母の遺灰とパスポート、そして100ユーロの偽札を使って、父を探しにパリに向かうことを決意する。パリに降り立った彼がまず向かったのは、彼が憧れていたインテリアショップ。彼は、そこで家具を買いに来ていたアメリカ人女性マリーに一目ぼれしてしまう。
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