東証の「市場区分」見直し、どう進めるべきか 蚊帳の外に置かれた投資家たちの不平と不満
一連の流れの中で、どうにも不可解なのは東証の対応だ。
昨年10月に懇談会設置を公表した際、清田氏は記者会見で、懇談会はあくまで各市場の問題点を整理し、あるべき市場構造を見いだすための論点整理のために設置するものであって、1部上場社数の大幅削減などと説明していない。市場構造を変える影響は甚大であり、「実現には十分時間をかけるべきだ」とも清田氏は発言している。
市場区分を見直す、それも東証1部上場会社の数が大きく変動するような、極めて影響が大きい改革をしようというのに、懇談会のメンバーはわずかに6人。それも学者や研究者、弁護士のみで、上場会社自身は入っていない。しかも、議事録も公表されず、開催された事実ですら最初2回分しか公表されなかった。
市場関係者を蚊帳の外に置いた議論
「東証は報道のような方向でコトを進めようとしているのではないか」。議論の蚊帳の外に置かれた市場関係者たちがそう考えるのは当然だった。
懇談会を有識者だけで構成した理由が、論点整理だけを目的にしていたためであるとか、論点整理が済んだら、公開の場で広く利害関係者も含めた議論をする予定である、といった説明を東証はしなかった。その理由についての東証の説明は「何も決定していないというのが事実だったから」と素っ気ない。
東証は株式会社ではあるが、証券取引所の運営事業は金融庁の認可事業であり、上場規則の変更には金融庁の認可を必要とすることが金融商品取引法に規定されている。従って、東証だけでコトを進めることなど土台無理だったはずなのだが、経済産業省も参戦し、事態は複雑になった。
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